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第184回 「東京国際金融センターの初夢」

2021年01月04日

株式会社マネーパートナーズ ホームページ寄稿
二〇二一年 一月   行天 豊雄

 コロナの故で皆が後向き、縮み指向になっている中で、東京国際金融センター構想は数少ない前向きな話である。政府、東京都、主要メディアがそれなりに積極的らしいのも結構なことである。しかし、この類の話はこれが初めてではない。一九八〇年代後半のバブル絶頂期にも似たような動きがあった。世界第二の経済大国なのに金融の面ではニューヨークやドルに依存しているのはおかしい。円はドルに匹敵する世界の基軸通貨になるべきだし、東京はウォール・ストリートやシティに並ぶ国際金融センターになって当然だという論調が盛んだった。しかし、実現したのは一九八六年の東京オフショア市場というささやかなもので、バブルの崩壊や中国経済の台頭を背景に、当初の元気の良い議論は次第にしぼんでしまった。
 最近の議論の復活は、一つには失われた三十年の結果、日本経済の国際的地位が低下していることへの危機感の反映だろうし、直近では香港の政情不安の結果、その金融センターとしての役割が他の市場に移るのではないかという思惑もあるようだ。
 金融が実体経済の反映であるのは勿論だが時間軸は同じではない。十九世紀はパックス・ブリタニカの時代だったが本国が台頭し、二十世紀はパックス・アメリカーナの時代になった。面白いのは、総合的国力から云えば十九世紀末に米国はすでに英国を凌駕していたのだが、ドルがポンドに代わって世界の基軸通貨になり、ウォール・ストリートがシティーに代わって国際金融センターになったのは一九四五年に第二次世界大戦が終わってからであった。つまり、通貨とか金融市場が利用されるには、一般的な経済活動だけでない様々な条件が作用するということなのである。
 結論を先に云うと、どの市場が国際金融センターになるかは、三つの条件によって決まる。参加者はこの三つの条件を比較勘案して、何処へ行くかを決めるのである。
 第一に、決定的に重要なのは、そこに商売のネタが有ることである。そこへ行けば金儲けができるという期待がなければ誰も来ない。そしてその前提としては、その市場に様々な金融資産が集積しており、現地または後背地で金融にからむ経済活動が活発に行われていることである。
 第二に、その市場では自由で公正な競争が行われていることである。一番大事なのは無駄な規制がないということだろう。その上で、ビジネスに必要な法律、会計、語学等のソフトウェアとIT関連や通信、運輸等のハードウェアのインフラが整備されている必要があるだろう。
 第三の条件は、その市場が快適で魅力的な生活の場を提供してくれることだろう。他の条件が同じなら、衣食住、教育、文化の質の高い所へ行きたいと思うのは当然である。
 東京にはいろいろプラスとマイナスがある。一九〇〇兆円の個人金融資産や一七〇兆円にのぼる年金積立独立行政法人(GPIF)の運用資産の存在は大きなチャンスだが、それが活用されていないのも事実である。企業の業績と国際競争力、時価総額の推移、外資の参入等々国際金融センターの指標の動きはどうも芳しくない。
 東京を国際金融センターに育てるということがどういう優先度を持つ話なのか、日本は真剣に考える必要がある。本気でやる気があるならば、前述の三条件の具体的な項目について本気で工程表を作らねばならない。
 香港の将来は北京政府が香港にどういう役割を期待するかにかかっている。中国本土経済への玄関口としての役割は当然残るが、それを可能にするために香港が必要とする「魅力」のかなりの部分は、英国の植民地として培われた属性なのである。今や中国本土の一部となった香港政府がこのジレンマをどうやって解決できるか、まだ判らない。しかし、日本が自らの努力で三条件の達成を図らず敵失を待っていても、何も得られないだろうことは確かである。


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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。


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