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第133回 「化学反応」

2016年10月03日

株式会社マネーパートナーズ ホームページ寄稿     2016年 10月


 世界中の中央銀行が四苦八苦している。2007年に金融危機が起って世界中で需要が乾上り、信用収縮が拡がった。そもそもこの危機は元を正せばそれに先立つ金融バブルが原因だったからそれを放置した中央銀行にしてみれば身から出た錆という側面があったのは事実だ。しかし現実には急速に悪化した景況を前にして各国とも一番手っ取り早く実行可能な金融緩和政策に雪崩れを打ったのは止むをえないことではあった。

 米国のFED、EUのECB、日本銀行、英国のBOE、中国の人民銀行を始めとする中央銀行はいずれも金利や準備率を引下げ、国債その他の証券を買入れ、貸出しをふやし、インフレ・ターゲットを設定し量的質的な金融緩和を競った。共通したねらいはそれによって人々のインフレ期待が高まり、金利低下と相まって家計の消費や企業の投資が元気付き、経済成長が復活するだろうということだった。

 この国際的試みが全く効果が無かったとは決して云えない。このお陰で世界経済は危機発生直後のマイナス成長から急速に回復し、曲りなりにも拡大を続けてきたのである。

 しかし、ここへ来て形勢は芳しくなくなった。要するに、何時迄経ってもまともな成長路線に戻れないのは何故なんだという不満と不安が世界中に拡がっているのである。そしてその矛先は中央銀行に向けられている。

 一番回復の早かった米国では一昨年から金融緩和からの出口の模索が始まった。本来ならもう今頃はFEDの政策金利が2%位に戻っていても良かったんだが、FEDが利上げをしようと思うと何故か悪い経済指標が出たり、国際的に不安が高まったりで、結局去年の暮れに0.25%引上げられただけである。優柔不断な状態が長引くと当然生産性の伸び悩みだとか、雇用市場の不備だとかに眼が向いて政治家のFEDに対する視線がきびしくなる。大統領候補のトランプなどはイエレン議長を国賊呼わりである。

 寄り合い世帯のECBは元来難しい立場にあった。EU経済には危機からの回復という仕事だけでなく、統一通貨ユーロの維持、脆弱な金融システムの補強等の難題があったからである。それでもドラギ総裁は何とか域内をまとめ、「できることは何でもやる」と威勢の良いところを見せ、マイナス金利を導入したり、国債を買入れたり奮闘している。しかし、肝心の実体経済はかんばしくなく、成長も物価も水面すれすれの状態が続いている。

 日銀の苦境は繰返すまでもない。2013年のアベノミクス登場以来日銀は次々と金融刺激策を打ち出して来た。無責任なメディアやマーケットは円安と株高になれば囃し、円高と株安になれば貶めた。直近の一打はイールドカーブ・コントロールとインフレーション・オーバーシュート・コミットメントである。対策が次第に専門的・技術的になるものだからメディアやマーケットも消化不良で、明快な反応が出なかったのはお笑いだった。

 要するに、世界中で起っていることは、中央銀行に対する期待が大き過ぎたために、現実が一向に改善しないことへの落胆と不満が不必要に増幅して中央銀行のクレビリティーが低下してしまっているのである。その意味では中央銀行はむしろ被害者かも知れない。しかし、最近の各国の中央銀行の政策態度を見ていて一つ私が不安に思うのは、相手は生き物である経済やマーケットだという認識が十分だろうかということである。金融の世界が数字の世界だから止むをえない面もあるが、中央銀行当局者を見ていると、実験室にいる化学者のような印象を受ける。こういう成分をこういう風に調合すれば、こういう化学反応が起る筈だという確信である。歴史はその正しさを証明したこともあったし、曖昧なこともあった。人間界の実験室の悩ましいところは、担当者達が皆違う時計と温度計を持っていることである。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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