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第159回「お二人へのアドバイス」

2018年12月03日

株式会社マネーパートナーズ   ホームページ寄稿 2018年 12月

 米中貿易戦争に対して世界中から非難の声が沸き上っている。恣意的な高関税によってサプライ・チェーンが混乱し、投資・貿易の流れが寸断される。輸入品価格上昇の結果、実質貿易は縮小する。成長は鈍化し、折角回復期にある世界経済は停滞してしまう。さなきだに、米国経済の一強を背景にFEDが利上げを続けるからドル高が進み、途上国通貨安と資本流出が心配されていた。そこへ持って来ての貿易戦争だから不安の声が上るのも無理はない。

 貿易戦争に勝者はないから何処かでディールが成立するだろうという楽観論もあるが、昨今の米中対立は単なる貿易紛争ではなく、いわば世界における覇権を賭けた両大国の闘いであり、トランプと習近平という指導者が正にそういう認識を誰よりも強く持っていることを考えると、この問題は決して簡単には片付かないだろうと思う。しかし、両大国の競合が武力闘争にでもなればそれは即ち人類の破滅であることは明らかであるし、その観点から両大国の競合を何としてでもホット・ウォーにしないでコールド・ウォーに止めておく必要があるのは、両大国のみならず全世界にとっても当然のことである。

 両大国に何かの行動を強制する力を持った国も機関も存在しない。われわれにできるのは、またわれわれがなすべきなのは、両大国が、中長期的観点からは、そのような行動をとったほうが有利だと納得できるような理性的な選択肢を提示することではないか。

 まず習近平から始めよう。私が伝えたいのは、「焦ってはいけない」という言葉だ。2000年のWTO加盟の頃迄、中国は鄧小平の教えを守って韜光養晦の道を歩んだ。世界に覇を求めず、国内の改革と発展に専念したのである。ところが、21世紀に入って、ITバブルが崩壊し、9・11テロが起り、米国の威信が大きく揺らいだ。リーマン・ショックはいわば極め付きの出来事で、「米国恐るるに足らず」という威勢の良い風潮が生まれた。習近平は正にこの流れの申し子なのである。偉大な中国の復活、米国一権支配への挑戦が新しい国家的スローガンになった。

 しかし、中国は焦ってはいけない。中国は強大にはなったが、米国との距離はまだまだ遠いのである。しかも米国との対立激化で国内の改革・発展が足踏みしていることを考えると、今後10年、20年後の中国には1980年代のソ連と共通したリスクがあることを無視できない。中国は韜光養晦に戻るべきである。

 トランプへの忠告は「偉大なアメリカ復活」に必要なのは軍事力、経済力だけでなく、自由と民主主義の理想を掲げて団結したアメリカ社会なのだということだ。アメリカは人種の坩堝であり、絶えず異種のものの間で作用と反作用が続いている。しかし坩堝が健在であるためには、建国以来の理想を守るという暗黙の国民的合意が必要である。そしてその合意の存在こそが、他の国々とくに中国のような理念を重視しない国に対するアメリカの強味なのである。トランプ流のすべての課題を数字で勝負が判断できる取引に仕組み直したり、単純な敵味方に仕分けるやり方は、結局自らの強みを捨てることになる。世界に自負できる理想の下で団結したアメリカ社会を再生し維持することこそがアメリカの指導者に課された喫緊の責務だと思う。

 二人がこの忠告を聞いてくれれば、少々ともあと20年位は米中間には競争的共存が実現する筈なんだが。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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