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第162回 「人生の岐路」

2019年03月01日

株式会社マネーパートナーズ   ホームページ寄稿 2019年 3月

 日本の経済は本当のところ良いのか悪いのかどうも判らない。メディアだけ見ていても、一方では、戦後最長の景気拡大、戦後最低の失業率、戦後最高の求人倍率、企業最高益、名目賃金上昇、来日外人旅行客史上最多、富裕層の消費活発等々の活字が躍っているし、テレビをつければ外国人達が口を揃えて日本のあれが良い、これがクールだと礼賛する。日本のサービスや工芸や物作りが如何に精微で濃密で質が高く、世界に冠たるものであるかがこれでもかこれでもかと繰返される。日本の自然は世界一美しく、日本料理は世界一美味しく、日本人は世界一良い人達である。企業は最高益なのに実質賃金は上っていないのだが、日本の労働者達はストライキはおろか街頭デモすらしない。安倍自民党政権は長期安定し、支持率も国際的比較からすれば高い。これだけ聞いていれば天国のような印象である。

 ところが、同じ日本人でも違った見方をしている人達がいるのである。たしかに日本の景気回復は続いているが、そのスピードは主要国の中では最低でロシアやブラジルよりも遅い。世界の平均が3%台であるのに、日本は1%前後でしかない。ということは、世界の中での日本の地位は年々低下しているのである。日本は生産年齢人口も減り、労働生産性も低いから成長率が高くなるわけがない。財政赤字は最悪、社会保障の持続可能性は最低、かつては世界に誇った技術開発力や日本型経営の優越性、学校教育の質の高さも今や地に堕ちてしまった。とくに21世紀の戦略産業である情報通信と金融の国際的競争力で立ち遅れてしまったのは致命的であった。その結果、かつては世界上位を独占していた日本企業の時価総額は今や見る影も無い。とくに憂慮すべきは、10代、20代の若い世代の無力化で、現状を是認して安住する比率は高いが、国の将来を信ずる比率や、国を守るために命をも賭ける者の比率は極めて低い。

 人間でも国家でも良い所と悪い所が同居するのは当然であるが、日本についてのこういう楽観論と悲観論を並べてみて感ずるのは、楽観論のほうは循環的か主観的な背景から生まれているのに対して、悲観論のほうは構造的な問題を反映していることである。そしてその構造的問題として意識されているのは優れて人口問題なのである、日本の人口が世界最悪のスピードで減少していることは事実である。それはほぼ間違いなく成長率を押し下げ、財政を悪化させる。国は活力を失い、将来展望を暗くする。人口問題が重要なのは、その改善がきわめて困難であり、できるとしても非常に時間がかかると信じられているからである。

 日本の病が宿病であることを認め、その上で尚且つまともな国として生きて行く道は二つしかないだろう。一つは、人口問題に挑戦するため、具体的には出生率を高めるため、数十年単位の広汎な国家戦略を作り、その持続性を担保する政治的措置を講じ、客観的信頼が生まれるような具体的一歩を踏み出すことである。至難の技であることは明らかだが、不可能ではないだろう。歴史には成功した例もある。

 もし、この道は無理だというのであれば、残されるのは、長期的に衰退する国家ではあっても、世界に認められ、愛され、尊敬されるさまざまな分野での価値を保存し、洗錬し続ける道しかないだろう。そういう道を歩けるような環境を維持する為には恐らく地政学的には知恵と決断が必要だし、大きな犠牲も覚悟しなければなるまい。

 いずれにせよ、21世紀の日本は20世紀とは違った国としての進路を模索しなければならないだろう。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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