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第167回 「相手にされない」

2019年08月01日

株式会社マネーパートナーズ   ホームページ寄稿 2019年 8月

 残念なことに日本にとっては余り芳しくない雰囲気になってきた。海外の機関投資家の日本経済や日本企業に対する関心が全く冷め切ってしまったのである。原因はいろいろあるが、よく云われるのは次の四つである。

 第一は、投資のリターンが余りにも低い。去年迄は企業業績の良さが日本経済好調のシンボルだと思われ、問題はこんなに儲かっているのに賃上げや投資にカネを使わず余裕資金を貯め込んでばかりいることだといわれてきた。ところがここへ来て業況が急速に悪化しており、軒並み減収減益に転じている。にもかかわらず、経営者は形式的なコーポレート・ガバナンスの格好をつけるために社外取締役を増やしたり、指名委員会やら報酬委員会を作ったりすることに熱心で、肝心の時価総額を増やすために死に物狂いの努力をしていない。

 第二は成長力の無さである。日本は世界でも少子高齢化が進んでいるため潜在成長力が落ちているのだが、それをどうやって喰い止めるか、あるいは、どうやったら生産性を向上できるかという緊急の課題について、話題になるばかりで具体的な実効のある対策がとられていない。新卒一括採用の廃止を始めとする労働市場流動化政策や、外国人労働者問題だけでない中長期の移民政策の検討は一向に進まない。その結果、労働生産性の向上は他の先進国より見劣りがするし、技術革新やデジタル化、ベンチャー・ビジネス、M&A等の競争分野での立遅れが深刻化している。

 第三は、インフレ期待の消滅である。アベノミクスの柱である2%の物価上昇目標は達成不能となった。成長回復の期待が損なわれたため、家計は消費を増やさない。供給者は価格競争を強いられる。一部の高額所得者の世界と一般家計の世界が二極化し、全般的なデフレムードは払拭されず悪循環が続いてしまう。肝心の若年層は現状を変えたいという不満はないのだが、将来への希望も余り無い。夜が明けるという国民全体としての確信が無いのである。

 第四は、政策手段の枯渇である。金融政策は過剰緩和の弊害が心配されるような状態だし、財政政策の分野では増加財源はすべて社会保障費の支払いになるから、成長力強化のために使えるカネはない。政局は何時も次の選挙の話ばかりだから、腰を据えて、短期的に不人気な政策でも、将来のために頑張ろうという勇気のある政治が生まれる筈がない。アメリカや中国がまだ金融・財政両面で政策追加の余地が残されており、かつ、政治もやる気満々なのと比べると、日本はもう弾薬庫に弾丸一発も残っていないと思われるのである。

 この日本の停滞感を何とか払拭しないといけない。考えてみれば、アメリカにせよ中国にせよ、良いことばかりでは決してないのである。目先の経済の話を別にすれば、両国とも日本とは比較にならないような深刻な課題に直面している。アメリカは国内ではこれからいったいどういう国としてのアイデンティティや理念を持って生きて行ったら良いのかという話で国論が完全に分裂し、国際的にはどういう役割を果たすべきかについて全く混乱の極みにある。中国は、歴史的に世界の指導的国家になるためのクレディビリティのある政治や社会、経済を構築できるのか。瀬戸際に迫っている。

 悩める二人の巨人の間にあって、日本が存在価値を立証するためには、世界の平和的発展に貢献できる国力と活力を持っていなければならない。影響力の無い国は誰からも相手にされない。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。


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