株式会社マネーパートナーズ ホームページ寄稿     二〇二〇年 一月

 押し並べて評判の悪いトランプ政策の中でも取り分け忌避されているのは通商政策だろう。第二次大戦後世界はブレトン・ウッズ体制の下で数次に亘る多国間の関税引" />

FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

外国為替古今東西

最新の記事

第172回「憎まれっ子世に憚る」

2020年01月06日

株式会社マネーパートナーズ ホームページ寄稿     二〇二〇年 一月

 押し並べて評判の悪いトランプ政策の中でも取り分け忌避されているのは通商政策だろう。第二次大戦後世界はブレトン・ウッズ体制の下で数次に亘る多国間の関税引下げラウンドを忍耐強く繰り返してきた。その結果国際貿易における障壁は著しく低下し、世界貿易は世界経済をかなり上回るスピードで拡大してきた。ウィン・ウィンの好循環が生まれたと思われたのである。米国は構造的に大きな貿易赤字を抱えていたから、時として保護主義に走ることはあったが、概して云えば多国間の自由貿易を推進する指導国家の役割を果たしていた。

 ところがトランプ政権は、米国が多くの国に対して巨額の貿易赤字を抱えており、それは米国の雇用が相手国に奪われていることだから、二国間の交渉によって赤字を減らすディール(取決め)を勝ちとるというアメリカ・ファースト(米国第一)主義に転換したのである。

 このトランプ通商政策に対しては米国内外で広汎かつ根深い批判が巻き起こった。とくに日本が熱心に主導したTPP(環太平洋自由貿易構想)から米国が脱退を決めた時には、もうこの世の終わりだと云うような悲鳴が上がったのは記憶に新しい。

 しかし残念なことに、ここ数か月間に貿易の世界で起こっているのは、正にトランプ流の二国間ディール政策が着々と根を拡げている姿なのである。TPPに代わって米韓、米日の間でいち早く二国間貿易協定が成立し、米国は韓国からは自動車、日本からは農産物の分野で譲歩を勝ち取った。中国との間でも第一段階貿易合意にこぎつけ、中国に二千億ドルの米国農産物輸入増加を約束させた。NAFTA(北大西洋自由貿易協定)に代わるカナダとメキシコとの協定も批准され、自動車分野等で成果が上がった、と勝利宣言である。英国ではジョンソン保守党の大勝でBREXITが確実になり、米英二国間協定が視野に入ってきた。EUとの交渉も始まるだろうが、自動車関税を武器にしてトランプ政権側が先手をとっている印象である。

 多国間自由貿易体制の守護神とも云えるWTOは米国のサボタージュで上級委員会の七名の定員の中一名しか在籍していない。完全な機能不全である。

 要するに、大方の反対にも拘わらず、世界の貿易体制は二国間の威し賺しと駆け引きの場になりつつあるのである。トランプ流の貿易政策への反対の理由は二つある。一つは関税引上げなどの保護主義を武器にした戦いは結局世界貿易を委縮させ、米国を含む世界全体の経済発展を妨げてしまうということ。もう一つは、折角多くの国が自由で開かれた民主的市場経済で米国を中心に団結しようとしているのに、トランプ流の相手かまわぬディール交渉はその民主的協調を壊して、中国などの国家資本主義国を利するだけである。この二つの議論には確かに説得力がある。

 問題は、貿易交渉論におけるトランプの唯一最大の関心は、中長期的な世界経済の話ではなく、彼が再選されるかどうかだということなのである。二期目の四年間に彼が何をしようとするかは、すべて再選が前提なのだ。

 猿は木から落ちても猿だけれど、大統領は落選すれば只の人なのである。それを一番強く感じているのは正にトランプ本人だろう。アメリカ・ファーストという政策が本当にアメリカのため、世界のために正しい政策なのかどうかを今論じても意味がない。来年十一月迄は憎まれっ子が世に憚るだろう。本当の舞台はその先だ。

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引および証券取引に関するご注意

パートナーズFX、パートナーズFXnanoおよびCFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格とには差額(スプレッド)があります。

取引手数料は無料です。ただしパートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの受渡取引に限り、1通貨単位あたり0.10円の手数料をいただきます。

パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの証拠金は、為替リスクを想定し通貨ペアごとに当社が定める額と、金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額のうちいずれか大きい額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。

CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。 国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会

このページの先頭へ