株式会社マネーパートナーズ ホームページ寄稿     二〇二〇年 四月

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第175回「ウイルスと大統領選」

2020年04月01日

株式会社マネーパートナーズ ホームページ寄稿     二〇二〇年 四月

 コロナウイルスの蔓延が予想を絶する打撃を世界に齎している。二か月前には誰も予想しなかった光景が広がっている。云う迄もなく、一番深刻なのは経済面で、サービス、金融、製造等のあらゆる業種で生産、流通、消費の全段階で殆ど壊滅的な状況が発生している。加えて、一九九〇年代以来進んだグローバル化、デジタル化のお陰で世界市場は様変わりに融合と統一が深化している。そのため、サプライ・チェーンに発生した瑕疵はまたたく間に広汎かつ深刻な障害をシステム全体に及ぼすことになる。

 コロナウイルスによる世界経済への打撃がどの位の深刻さでどの位の期間続くものなのか、現状では全く予測がつかない。ウイルス自体が終息すれば事態は急速に回復するという楽観的見方もあるが、システムが変えられてしまったり、労働力動態が変わってしまったりすると、常態復帰には時間がかかるかも知れない。

 しかしコロナウイルスの影響は経済だけではない。政治、社会、文化等およそ人間生活のすべての側面にさまざまな影響が及ぶのは必然である。早い話が、ウイルス騒ぎが起こる前まで世界中で一番関心の高かった米国の大統領選挙は一体どんな影響を受けるのだろうか。一か月前の米国の状況を思い出してみると、米国経済は曲がりなりにも好況を維持し、株価も雇用も高水準を維持していた。野党民主党の候補者選びは難航していたが、中道穏健派のバイデンと急進左派のサンダースの一騎打ちで、若年層に支持が広いサンダースが一歩先にいると思われていた。もし十一月の本選がトランプ対サンダースということになれば、米国一般庶民の社会主義嫌い、第一期の実績、熱狂的な岩盤支持層の存在等々を考えて、多分トランプ再選だろうというのが多数意見だった。コロナウイルスでこの状況は変わるだろうか?

 民主党と共和党の対立は米国政治の原点で何時の選挙でも変わりない。しかし、米国政治のもう一つの特色は一旦緩急有った時の両党の団結である。一九四一年のパール・ハーバーでも、二〇〇一年の九・一一でも、二〇〇八年のリーマン・ショックでもこの超党派(バイパーティザン)の協力の成果は遺憾なく発揮された。米国人は元来世界で最も愛国的なのである。

 ところが、コロナウイルス後の両党の関係は従来の危機対応時と比べるとどうもまどろっこしい感じがする。二兆ドルの救済措置法案にしても土壇場まで共和党がイチャモンを付けて時間を喰った。何故かと云えばトランプ政権下で両党の関係は国益のためであっても超党派になれない程悪化しているのである。トランプの強引で挑発的な言動とそれに反発して民主党が大統領弾劾決議を出したことで両者の関係は決定的に悪化してしまった。トランプと民主党のペロシ下院議長は未だに口も利かない状態である。

 トランプはコロナウイルスについて当初事態を誤認して楽観的な立場をとった。そして共和党支持者はそれを受け入れていた。ところが、三月の第二週から事態は急激に暗転し、トランプの誤認が明らかになった。これはトランプにとっては非常に危うい展開であったが、彼は一夜にしてスタンスを一八〇度転換した。今や彼は自分が第二次世界大戦に匹敵するような戦時の大統領であり、コロナウイルスという見えない敵との闘いに挑んでいると国民を鼓舞している。この戦術転換はそれなりに成功したようで、トランプの危機対応策の支持率は三月十九日現在で五十五%に上昇した。しかし、コロナウイルスのために、彼が最も得意とする、何千人もの支持者を集めた劇場型のパフォーマンスが不可能になってしまったのは大きな痛手ではあろう。

 一方、民主党の候補者選びは三月十七日のスーパー・チューズデイでバイデンが予想外に善戦し、事実上民主党候補の座を獲得した。サンダースが土壇場で失速してしまったのは、民主党の主流が党内の亀裂に深刻な危機感を持ち、サンダースでは絶対にトランプには勝てないと悟ったからである。

 バイデンにとってもコロナウイルスは全く想定外の出来事だし、率直に云ってこの問題をどう扱えば自分に有利になるかまだわからないというのが本音であろう。バイデンの発言は当り障りがなく、自らの具体的な提案をするより、トランプの敵失を待つという本音が見え隠れする。

 と云うことで、コロナウイルスの米国大統領選への影響は、専らその終息状態次第ということであろう。夏前に常態が回復すれば、有権者の関心は再び景気見通しに戻る。コロナウイルス対策で大量供給された流動性のお陰で経済はバブル基調になっており、中長期的政策は難しいものになっているだろうが、目先の景況は悪くなく、トランプに利するだろう。他方、もし終息の目途が立たず、状況が悪化を続ければ、トランプに対する不安、不満が当然高まって交代を求める声が強くなる。

 共和党か民主党かという話とは別に、コロナウイルスが十一月になっても終息しないと、一体どうやって選挙するのかという物理的だが致命的な問題を解決しなければならなくなる。投票と集計という選挙の基本的動作をどう変えれば実行性と公正さが確保されるか?米国だけの問題ではないが、余程周到に準備しておかねばならなくなる。中国が強権的手段で蔓延の抑制に成功したので、自由な民主主義に対する懐疑が生じているなどと言われるが、コロナウイルスはそれ以前の問題があることを教えてくれているのである。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。


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