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第179回「コロナのお陰で生き延びる」

2020年08月03日

株式会社マネーパートナーズ ホームページ寄稿     二〇二〇年 八月

 コロナウイルスはありとあらゆる所で猛威をふるっているが、やっと一つ「コロナウイルスのお陰で」と云えることが発生したようだ。コロナウイルスのお陰でEU(欧州共同体)が崩壊を免れたのだ。

 三月にウイルスの感染が拡がった時、欧州は大混乱に陥った。二十七の加盟国はお互いに相談もなく国境封鎖をし、医療器具を奪い合い、非難合戦を繰り返した。

 十年前のリーマン・ショックの時もEUの中でギリシャのように金融力の弱い国は、EUからの援助の見返りに緊縮政策を迫られ、EU脱退の寸前まで追い込まれた苦い経験がある。コロナウイルスは欧州の運輸産業、観光産業に壊滅的打撃を与えた。その最大の被害国はイタリアである。イタリアのGDPはギリシャの十倍あり、独仏に次ぐEU第三の大国である。イタリアの破綻がEUに及ぼす影響はギリシャの比ではない。

 一九九九年にEUで統一通貨のユーロが発足した当初から、EUの真の統合のためには二つのことが必要だというのは大方の合意するところだった。一つは、金利・為替という金融政策だけでなく、予算・租税・社会保障を含む財政政策と金融監督の統合であり、もう一つは、加盟国間の財政力の構造的な不均衡をスムースに調整するメカニズムの創設だった。

 しかし、ドイツやオランダ等の北部の保守的な国々とイタリア・スペイン・ギリシャ等南部のラテン系の国々の気質の違いは非常に大きく、真の統合に向けての前進は遅々としたものだった。コロナウイルスの感染が深刻な状況になっても、EUとして事態を抜本的に打開しなければならないという気運はなかなか生まれなかった。

 ロック・ダウンでEU経済が今年九%縮小するという見通しが明らかになると、EUの指導者達も真剣にならざるをえなくなった。

 七月半ばにブラッセルに集まったEU二十七ヵ国の首脳達は徹夜の交渉を続けて、遂に二十一日の明け方、歴史的な合意に到達した。

 総額一兆八千億ユーロのEU経済復興基金を作る。うち七五〇〇億ユーロはコロナウイルス対策用で、三九〇〇億ユーロはEU共同債発行で調達し、必要とする加盟国に返済不要の贈与として使用できる。三六〇〇億ユーロは低利融資として使用される。

 EUが巨額の共同債を発行し、調達した資金を加盟国へ贈与するというのは正に歴史的な政策変更であり、真の統合に向けての重要な一歩であることは明らかである。このようなことが起こりえたのは、幸か不幸か、コロナウイルスの脅威に追い込まれたドイツのメルケルとフランスのマクロンの二人の指導者の決断だった。二人はコロナウイルスのためにEUを崩壊させられないこと、そしてそのためには独仏の首脳が揃って妥協しなければならないことを思い知らされたのである。

 この決断が、長い目で見て、EUの世界的な競争力を高めるのか、損なってしまうのかまだ判らない。しかし、コロナウイルスとの付き合いを見ても、われわれ日本人が往々にして軽視しがちな、欧州人の生存のためのしぶとさを思い知らされる。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。


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