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第237回 ~浮き彫りされたトランプ政権の不安定~

2017年03月22日

 先週は、世界で注目された重要イベントを終え、大山鳴動してねずみ一匹という感じであった。台風を前にして、被害防止のために窓枠に木を打ち付けて準備していたが、進路がずれて暴風雨の発生はなかったようなものだ。しかしその代わり雲が切れて、今後為替市場の行方を明らかにする主題が明らかになった。それは、トランプ政権の基盤の弱さである。

 今週になって顕著になったドル安の流れは、ここにある。最新相場(3/22 午後4時現在)は、ドルインデックスは昨日に2月7日以来の100ポイント割れから今日も99.65まで続落、米国株式も米大統領選以来、最も大幅な値下がりとなった。またドル円は111.30円と11月23日以来、4か月ぶりの円高になり、111円割れも視野に入ってきた。対ユーロでも2月2日以来の1.08台と、トランプ政権の財政拡大と減税を期待したトランプラリーは大きくはげ落ちてきた。ドル指数が、99.23ポイントを割るとなれば、2016年11月11日(98.86)以来となり、為替市場でもトランプラリーが完全に消滅することになる。

 ドル安のもう一つの要因として、FOMCで今年の利上げ回数が3回のままと変わらなかったことで、4回もありうるとの市場の期待外れとなったことも指摘される。米国の10年債も、2日間で0.13%も低下、失望感の大きさが表れている。シカゴ投機筋が先週、円売り持ちを増加させたことで、ポジション調整の円買いの量も膨らんでいた。

 さてトランプ政権についてであるが、大きな弱点は人事である。陣容が整っていないことから、事務的な処理ができていないことでトランプ大統領の政策が具体化されないことである。先週発表された、予算教書を見てもその状況はよくわかる。過去の提案書に比べきわめて簡素化され、財源も明らかになっていない。減税の内容など、評価のしようがなく、市場が政権の執行能力に不信を抱いたことも不思議でない。

 ワシントン事情に詳しい専門家によれば、エコノミストはホワイトハウスに入らたがらないという。回転ドアと言われるワシントンの就職事情を考えて4年後の就職に不利になるとの考え方が広がっているとの見方だ。国務省でも、長官は決まったが、副長官以下のポリティカルアポイントには、ほとんど手がついていないという。しばらくは片肺飛行を余儀なくされている。このままの状態では、失望感の広がりから、ドル円の110円割れもあると予想している。

 今後一週間の相場レンジは、ドル軟調と考え、ドル円は110.50-113.00円、ユーロは、対ドルでは1.0700-1.0900、ユーロ円は120.00-122.50と予想している。
(2017/3/22、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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