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第244回 ~軽く見れないトランプノリスク~

2017年05月17日

 先週木曜日に114円台を付けてからドル円は続落、重要な節目とみていた2015年以降の最高値(125.86円)、最安値(98.95円)の半値である112.40円を割りこみ、5月5日以来の112.20円近くまで売られた。一方、ユーロに対しては、結果として先週の予想を大きく外したが、11月9日以来の1.11台まで下げ幅を広げた。

 その要因としては、フランス大統領選挙でユーロ維持派のマクロン氏が大きく勝利したこともあるが、それ以上にトランプ大統領の振る舞いが米政権の安定性に懸念を強め、米ドルに大きなダメージを与えたことが理由である。

 トランプ大統領は5月9日にFBI長官を突然に解任。内容が明らかに連れて信任を低下させる疑惑が強まり、ドルの下落を加速させた。ドルインデックスは、トランプ大統領が当選を決めた11月9日以来の98ポイント割れとなり、トランプ゚ラリーで買われた分をすべて吐き出した。

 米国為替市場をウォッチしている米国の友人から、ディーラー同士の井戸端会議風の会話が毎日伝わってくるが、米国市場の雰囲気は日に日に悪くなっているようだ。これでは「トランプは大統領は長く持たないのではないか」という心配だ。ニクソン大統領にウオーターゲート事件の類似性も盛んに取り上げられていると伝わっている。

 ニクソン氏は自ら身を引く意思はなかったが、外堀が埋められ、弾劾される前に自発的に辞職する形になった。では、トランプ大統領の場合はどうか。やめさせるためにどんなことができるか、調べてみた。そのカギは、アメリカ合衆国憲法修正第25条との見方がある。

 弾劾は、大統領の犯罪に対し、まず弾劾裁判を行うかどうか下院が賛成多数で可決し、裁判を上院が行い、3分の2以上の賛成で罷免を決定、という過程で決定される。しかしこれには相当の時間が必要であり、考えられたのが、憲法の修正25条の適用である。

 それには、「副大統領および行政各部の過半数・・・が、大統領が職務上の権限と義務を遂行できないと判断し、上下院の議長に対し申し立てを送付するときには、副大統領が直ちに大統領代理として大統領職の権限と義務を遂行する」と明記してある。

 ただ、これとて、簡単なことではないが、このようなことが議論されること自体、異常だと考えざるを得ない。支持率も40.9%の支持はあるが、不支持が日々上昇、直近では54.1%と、昨年11月26日以来の最高水準(Realpolitcs,17/5/16)となり、今後の動向に目が離せない。

 ただ、個人的には、下落しても111.50円前後で、しばらくは112円ばさみでもみ合い、チャート的に逆三尊を形成し、6月後半以降は米ドル利上げを背景にドルは上昇もみ合うことになると予想している。今後1週間の相場レンジは、ドル円は111.50-113.50円、ユーロは、対ドルでは1.0980-1.1180、ユーロ円は124.00-126.00と予想する。
(2017/5/17、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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