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第246回 ~円高基調のワケ~

2017年05月31日

マネーパートナーズからのお知らせ:筆者都合により、今週の更新は6月8日(木)の予定 となります。

 ドルはなかなか安定しないなぁー。これが筆者の正直な思いだ。どんな市場も先行きの不安定を嫌う。問題が発生すると、安定した場所に資金を移す。これがリスクオフという現象で、今、安全通貨と言われる「円」に資金が集まる。北朝鮮の隣にありながら、いざ有事が発生した場合でも円が買われる。

 以前筆者がディーラーのときは、「有事のドル買い」が合言葉であったが、今は「有事の円買い」となっている。それだけ米国は頼りにならないということだろう。その根底はやはりトランプ大統領への信任の欠如だ。最近は「秘密情報の漏洩」で世界のリーダーから非難を受けている。特に、英国やイスラエルとの間では、将来の情報提供に重大な影響を及ぼしかねない状態だ。

 この自分勝手な態度や発言が治らない限り、信任回復はできないとの見方が市場にひろがっている。すぐに解決できないと考える参加者が多いうちは、ドル高にいく力は出にくいだろう。加えて米景気も最近は足踏み状態で、FRB内部でも、現状が一時的でないことを確信できるまで、利上げには慎重であるべきとの見方が示されていることも、ドルが売られている要因だ。

 そして昨日発表の4月個人消費支出価格指数も年率1.7%と、2月(3月発表)の同2.1%をピークに、続落(前月は同1.9%)している。この指数は、イエレン議長がお気に入りの指標だが、FRBの2%というターゲットを再度下回った形だ。その為長期金利も低下、ドル売りの材料になっている。

 昨年末に、筆者はこう予想した。年前半はドル安、4月に安値を付けたあと、5月からは徐々に下値を固めていき、年後半にはドル高・円安となり、年末には120円となる。その理由は、前半はトランプ大統領政権が不透明で混乱が予想され、またドル高牽制が続き、ドルは売り圧力にさらされると考えた。しかし、その後は良好な米景気を背景に、FRBは利上げを続けると予想し、ドル高に転換すると予想した。

 確かに、4月までは予想通りの展開であった。今年の始値は116.74円だが、1月3日の高値(118.60円)をピークにドルは徐々に低下し、4月17日には、108.13円までドルは下落した。その後に114.37円(5/10)に上昇、ここまでは予想通りであった。そこで出てきたのが、いわゆるロシア・ゲートの発生であった。これが市場の見方を一変させたと感じた。

 さて、今後1週間の相場レンジは、ドル円は109.80-111.80円のレンジ相場を予想。一方ユーロは、ギリシャ、イタリア問題が再燃、ドラギ総裁も緩和継続を示唆したことで、短期的にはやや軟調となり、対ドルでは1.1000-1.1200、ユーロ円は123.00-125.00と予想する。
(2017/5/31、小池正一郎)

 【訂正】先週の記事の中で、「弾劾裁判については、唯一、17代のアンドリュー・ジョンソン大統領の例(1868年)がある」としたが、ほかにもう一人の大統領がいた。42代大統領のクリントン氏である。モニカ・ルインスキーとの不適切な関係で弾劾され、上院での裁判まで進んだ。結果は、偽証罪は有罪45対無罪55、また司法妨害は50対50で、いずれも3分の2に達せずで否決された。弾劾はまぬかれ、任期満了まで大統領職にとどまった。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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