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第250回 ~ドラギの変貌は確かか~

2017年06月28日

 ドル高までしばらくの辛抱とばかり、ゆったりと構えていたら、昨晩はあっという間の112円超えだ。夕方からじりじりと値を上げていたが、今朝未明午前1時過ぎには、約40日ぶりの112.47円まで上昇、久しぶりに感じたドル買いの勢いだった。

 ただ、米国にもドル買いをもたらすニュースがあった。コンファレンスボードの消費者信頼感指数が予想以上に上昇(予想116に対し6月実績は118.9と、前月117.6から上昇)したことだ。しかしそれ以上にECBドラギ総裁の発言によるユーロ高が要因となったことは大きなきっかけとなった。

 出元はポルトガル/シントラで開催されたECBフォーラム。市場は『ECBは緩和政策からの脱却を始めた!』と予想以上のドラギ総裁のタカ派への転換に驚き、一気にユーロ買いに走った。前日引け値より約200ポイントも急騰した。対ドルでは1.1355と、2016年8月下旬以来のほぼ10か月ぶりのユーロ高、対円でも127.48円と、2016年4月初め以来ほぼ1年3ヵ月ぶりの高値となった。

 ドラギ総裁とすれば、懸念していたフランスの政治状況において、マクロン大統領の誕生、議会総選挙でマクロン党の大勝利によりユーロ維持強化に道筋ができたと安堵し、方向感を出すタイミングが来たと判断したのだろう。さらにギリシャ問題(ユーロ圏財務相会合で追加支援合意)、イタリア問題(2銀行の破たん処理の決定)とも波乱なく処理できたことで、金融政策の正常化(大幅な量的緩和やマイナス金利からの脱却)に舵を切りやすくなったとも思料される。

 一方、ドル円では、ドル安の面だけ見れば円高となるが、実際は円安となった。地合いはドル安ではなくユーロ高が主要因だからだ。対円でもユーロ高・円安となったことで、結果として円安が進んだ。日米間では金利面、ファンダメンタルズ面(例:成長率)とも米国優位は変わらず、結果として円安・ドル高になったものだ。

 来週からは7月、米国では独立記念日(7月4日)から夏休みシーズンに入る。今後どう展開していくか。今週末は四半期末、半年末といわゆる区切りの時であり、今週はドル売りに傾いていたポジションの調整買が入りやすく、また季節的にも実需のドル買いが出ただけとの見方から、今回のドル高は一時的と見る向きもある。

 しかし、昨年のBrexit(英国のEU離脱)が決まったのも6月下旬、年間行って来いの折り返し点となったこの時期は、ある意味興味深いタイミングである。昨年と同じになるか、ここをきっかけに二段目の発射(一段目は仏大統領選挙でマクロン氏の勝利でユーロ急騰)となるか、大きな分岐点になる可能性もある。

 ドラギ総裁も発言の中で、タカ派一本ではない見方も示していることで、ユーロ高は一方的には進みにくいとも読める。個人的には、やはり後半の欧州選挙でのユーロ反対派の巻き返しや、南欧の新たなほころびなどが気になる。

 さて、今後1週間の相場レンジは、ドル円は111.20-113.20円と予想。一方ユーロは、対ドルでは1.1225-1.1425、ユーロ円は126.50-128.50と予想している。
(2017/6/28、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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