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第253回 ~振り子の反動を待つ~

2017年07月19日

 イエレンFRB議長の議会証言を契機にドル金利が低下(10年国債利回りは、6/29以来の2.27%台まで低下)、ドル円は昨日(7/18)には、111円半ばまで売られた。しかしこれは日柄、値柄とも予想の範囲内で、まさに相場レンジは先週の予想通りの展開であり、合理的な調整と考えている。

 下げ局面の中、タイミングよく(悪く?)トランプ大統領のロシアゲート問題が再燃した。またオバマケア撤廃とその代替法案が採決断念に追い込まれ、政権運営能力の低下が急速に高まり、ドル売りは加速した。支持率も36%まで低下(7/17付、ワシントンポスト/ABC調べ)し、ドルを買うインセンティブが著しく低下、ドルインデックスも94.47まで売られ、トランプ氏の大統領就任以前の、2016年8月以来ほぼ11か月ぶりの低水準になった。

 しかし、相場に上下動はつきもの。振り子のような運動エネルギーを考えれば、いずれ逆に振れる場面が出てくる。そのきっかけになるのが、米国の経済指標、特に物価や個人消費動向とみている。カギは来週のFOMCと8月初めの雇用統計である。個人的には、消費の勢いに陰りが見えることが気になるが、今後2週間の動向で、これが一時的なのか、構造的に景気後退が始まっているのかがわかってくると考えており、住宅関連、各種消費者信頼感指数、イエレン議長の好む個人消費支出統計などに注目している。

 しかしその前に今週は、日銀の政策決定会合(7/19-20)とECB理事会(7/20)がある。そのあとにFOMC(7/25-26)が続く。日欧2行はトップの記者会見があるが、米国は声明のみだ。市場は、どんな小さい言葉の違いも見逃すまいと、目を皿のように、耳をダンボのように凝らしている。注目はいずれも緩和出口からの道筋に対する言葉遣いである。特に、日銀は展望レポートの中間評価があり、物価目標の時期、水準の見直し予想されている。ただ緩和の手を緩めることにはならないと予想しているので、むしろ円売り(あるいは円高を止める)材料になると考えている。

 一方、欧州中央銀行は着実に出口に向かっていると判断している。それは昨年12月8日の発表で始まった。2017年3月までと決められていた月800億ユーロの債券の買い入れ額を、期限は2017年12月までと延長した一方、買い入れ額を月600億ユーロに減額した。テーパリングを始めるとも読める決定で、市場に最初のメッセージを発信した形だ。

 そしてその半年後、先月6月の理事会で、金利水準をそれまでの「現状維持か、より低い水準」としていた文言から「より低い水準」の言葉を削除し、出口への歩みを一歩進めた。その後のドラギ総裁のタカ派的発言で、7/18にはユーロドルは1.1583まで上昇、14カ月半ぶりの高値まで買われた。市場はすでにECBの緩和の終了をかなり織り込んでいるとうかがえる。今回も出口に向かっての発言が出ると考えられるので、少しでも足踏みを想定されるニュアンスがあれば、その反動のユール売りは大きなものになろう。

 今後2週間の相場レンジは、ドル円は、調整目標水準に近いところまで下落したと考え、底打ちからもみ合いの展開を予想し、111.00-114.00円と予想。一方ユーロは、対ドルではECBの材料出尽くし感から1.1280-1.1580、ユーロ円は128.00-131.00円と予想する。
(2017/7/19、小池正一郎)

**来週は、都合により休載とし、次回は8月2日となります**

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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