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第254回 ~厚い110円の壁~

2017年08月02日

 ドル円は一瞬とはいえ、昨日ほぼ1か月半ぶりの110円割れとなった。日計りのディーラーは毎日、朝一番に「今日は売りから入るか、買いから入るか」と、一日のディーリング戦略を立てる。これまでは「まず売りから」戦略がうまく当てはまっていた。それは2ヵ月ぶりの高値(114.49円)を付けた7/11から始まったドルの先売り後買い戦略である。

 筆者はここ2週間、市場から少し離れたところで、値動きを客観的に眺め、参加者の心理状態を探る状況に置かれていた。ディーラー感覚では、昨日あたりからその戦略が思った通りに働かなくなったような気がしてきた。すなわち、ドル下落局面は終盤に近い、今はドル買いの絶好のチャンス、との見方になっている。その考え方は正しいのか、これまでのドル先売り戦略が今でも有効か、いつまで続くか、あるいは根本的に日米構造が変わって、ドルは下落を続けていくのか考えてみた。

 相場は、①短期的要因の縦糸と、長期的要因の横糸の組み合わせで成り立っており、どちらの糸が強いかにより、方向性が決まってくる。また、②参加者は、自分がどう思うかより、市場がどちらの方向を向いているかにより、売買順序を決める傾向がある。この観点から言えば、「(ドル)売りから戦略」は終盤に入っており、早ければ昨日から、遅くとも来週からはドル買い戦略へ転換する時期が来た、との結論になった。

 まず、チャート面からの分析である。ドル下げ局面を見ると、今はまさに二度あることは三度ある、の終盤と見える。3/10の高値(115.50円)から4/17の安値(108.13円)までのドル下落相場を1回目とすれば、二回目は、5/10(114.37円)から 6/7(109.11円)の下落相場であり、現在は7/11(114.49円)から始まった下落相場である。

 チャートを書くと、この三つの下落傾斜角度が実にぴったりであり、今の3回目の下落を2回目の長さ(時期と底値)に合わせると、下落の終わりは8/7の109.30円前後となる。時期的には今週末の雇用統計の発表とぴったり重なる。すなわち米雇用統計で良好な数字が出てドルは底値を付け、再びドル上昇局面に入ることになる。その兆しはすでに始まっているのではないか。先読みしていくと、ドルの底値は昨日の段階で既につけていたのではないかとも読める。日足で見ると、昨日8/1に109.90を最安値とする長い下ひげを付けて終わっている。既に下げ相場の底値を付けた可能性もある。

 もちろん、ファンダメンタルズ面でも政治面でも、ドル売りの要素はたくさんある。数え上げれば、こんな局面でドルは買えない、となること必至である。その中の一つに、安倍政権の弱体化で、アベノミクスの崩壊→緩和政策の頓挫→円安の終了/円高の始まり、との見方がある。しかしその想定が崩れる(=すなわち内閣改造を評価、支持率アップ)となれば、ドル売り/円買い材料が一つ消える。これも時期的に今回のドル安底値論につながってくる。その答えはもうすぐ出る。

 そこで、今後1週間の相場レンジは、ドル安底打ちの展開を予想し、ドル円は110.00-112.50円と予想。一方ユーロは、対ドルでは上昇スピードが速すぎることに対する反動も出て1.1580-1.1880に下落、ユーロ円は128.50-131.50円と予想する。
(2017/8/2、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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