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第273回 ~2018年を読む~

2017年12月27日

 2018年のドル円相場は変動幅の大きい年と考えている。相場レンジは108円~123円で、前半ドル高、後半円高で2018年末を110円と予想している。

 まず、今年の振り返りだが、中途半端な相場展開となったことには予想外、ドル高期待の筆者にとっては失望感もある。昨年暮れに考えた2017年のドル円予想は、前半円高、後半円安で、年間レンジは105円~125円(年末120円)であった。2017年の相場展開として前半ドル安円高、後半は金利上昇期待から逆にドル高円安と予想した。

 その理由は、2016年11月にトランプ大統領が当選後に発表した経済政策(インフラ投資、減税、規制緩和)を受けたドル上昇スピードが、あまりにも急激であり、すぐに剥げると予想、年前半はドルは低下すると考えたからだ。4月までは筆者の予想通りに動いた、

 しかしその後のドル上昇は極めて限定的。緩慢な物価の動きを受けて米金利が上昇しないことや、トランプゲートなどの政治的な不安を背景に、ドルは浮力を失った。欧州中央銀行(ECB)の金融緩和終了への思惑からのユーロ買いもドル上昇の勢いを止めた。

 今日現在の2017年のレンジは107.29円(9/8)~118.61円(1/3)、年間レンジは11円あまりと、筆者の予想の約半分となっている。それも予想レンジの円高方向の108円~114円で上下し、ドル売り基調のまま年を越えようとしている。根底にトランプ大統領(ドルの信任)に対する不安が続いている。これが2018年を考える大きな基軸になる。

 さて、2018年であるが、筆者の目は、やはり「米国」、そして「中央銀行(特にECB,日銀の)金融緩和政策の転換の有無と程度」である。ドル円相場に対しては、頭書に書いたように、今年の逆の、前半円安、後半ドル安の予想である。

 前半は、経済主流。米景気が底堅く、米金利も上昇、日米金利差も拡大することで、キャリートレードが活発化。また減税効果への期待が膨らみ、米国への資金流入も増加するとの見方からドルは6月までに123円台までに上昇すると考えている。

 一方、後半は政治主導。米国中間選挙があるので、政治的にふたたび為替動向に神経質になる。ドル高行き過ぎの牽制論がトランプ政権から出る可能性がある。減税効果の息切れも心配だ。インフラ投資も財源不足から短期的な効果が期待できないとの見方も浮上するだろう。

 また、経済面でも米国経済の拡大期間が長すぎる(すでに8年半の拡大、最長は1990年代の10年間)ことに対する警戒感も高まるだろう。景気指標に少しでも陰りが出ればリセッションへの懸念、米金利の低下、株価下落、ドル下落を引き起こす。また、新しいFRB議長に対する市場からの洗礼も考えておかなければならない。グリーンスパン、バーナンキ時代には、それぞれ就任後に大きなショック(ブラックマンディー、リーマンショック)が起きている。

 アベノミクスが始まってからのドル円の年間レンジを見ると、2014年が20.95円(年始まり値に対する変動率19.9%)、2015年10.01円(8.4%)、2016年22.74円(18.%)だが、2017年もこのままいけば、11.32円(9.7%)となり、2年目以降、1年ごとに縮小拡大を繰り返している。この順番で行けば2018年は20円以上の変動を予想できる。

 欧米市場は、日本の正月真っただ中の1月2日からフル回転する。すぐに、大変動の2018年に備える準備を始めたい。
(2017/12/27、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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