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第275回 ~トランプの信用なくしてドル売りは止まらない~

2018年01月17日

 日銀の購入債券減額が火をつけた先週からの円高の流れは、とりあえず一休止という感じである。110円も割れるかどうかのところまで円は買われたが、割れると一気に108円まで行くとの懸念から売り留まった気配だ。

 この背景には、ユーロ高もある。1/17には、2014年12月半ば以来となる1.2323までユーロは買われた。英ポンドも2016/6のブレグジット以来の水準まで上昇。この結果ドル指数は、同じく2014/12以来のドル安水準まで下落した。

 今回の円高の勢いは、筆者にとってはやや予想外であった。111円割れがこれほどまで継続していることに違和感を感じている。しかし現在の市場の雰囲気や風を考えると、金融政策面では、日銀やECBが現在の緩和政策を何も変更せずに、そして何も余計なことを言わないことでもない限り、円安に転換することはないだろう。すなわち来週の決定会合までは、円高基調が続くということになる。

 また、政治面、経済面どれをとっても、ドルにとって買い材料はない。唯一ドル買いと言ってよい要因の株式市場の好調さも、高値警戒感から26,000ドル(ダウ平均)超えたところで当面の達成感から急落、この点からも積極的な買い材料になりにくい。企業業績の好調さから中期的に見れば、株価上昇の勢いは再び認識されるであろうが、ドルを買い進めるにはこの要因だけでは力不足だ。

 結局、今はドル高要因は市場に織り込み済みであり、絶対的に(相対的でない)かなりのドル買い材料が出ない限り、ドルはじり貧になるだろう。その材料とは、政治面では、トランプ大統領の完全な信認回復である。そのために必要なようなことは、まずは、19日期限のつなぎ予算を恒久的な制度にし、債務上限問題も長期に懸念のないように決定することが必要だ。

 もちろん今月末の一般教書で、公約を実行するための財政的な裏付けと具体的な予算執行策が発表されることが最低要件と考えている。ただ、その前に来週のダボス会議での演説で市場をかく乱する余計なことを言わないことが絶対条件だ。と思うほど、世界中の投資家は、トランプ大統領の発言や行動に懸念(不信?)を抱いている。

 個人的には、日銀の政策決定会合(1/22-23)では、現在のドル円相場を考慮すれば、わざわざ円高をもたらすことはしないと考えている。そこで、今後1週間の相場レンジとして、ドル円は100.00円~112.00円、ユーロは、対ドルで1.2100~1.2300、対円では134.50~136.50円と予想している。
(2018/1/17、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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