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第276回 ~110円割れで見えたもの~

2018年01月24日

 昨年9月15日以来、約4か月ぶりの110円割れとなった。長期債購入減額で火が付いた日銀の緩和政策の変更の思惑が円高を呼び、米国つなぎ予算合意遅延も加わり、円高、ドル安両面で円は買われてきた。

 そして、昨日の黒田総裁の記者会見での発言が、円高基調のダメ押しになった。緩和政策の変更が明確に否定された直後は111円台へ円は下落したが、しかし切り返しは早かった。次の政策変更は緩和の終了であることは明白であり、今回は無くとも変更の時期は着実に近づいていることが間違いないとの見方が、円高を呼んだとの読みだ。

 シカゴ投機筋の円の持ち高が、相変わらず売り持ちが多い(1月16日現在)ことも、円買い材料になっている。今日までの1週間、円買いにより売りポジションは縮小している可能性もあるが、この間の値動きを見れば一気に減らしたとは思えない。まだ円買い玉が残っているとすれば、徐々に減らす(小刻みに円買い)操作をしているためにじりじりと円は買われていると思える。それにもう一つの円高の要因はユーロ高に引きずられたことだ。

 しかし一方で、見方を変えれば、目指していた110円割れとなったことにより、達成感がでたとも言えるので、この見方では、ドル安の底値が近づいていることになる。個人的にはこの立場である。しかし本当の底値となるには条件がある。

 まず、世界的な動きとして、ドル安の材料がなくなる、あるいは縮小することが必要である。直近の材料では、25日のECB理事会で、ユーロ高への期待が萎むことである。それにはECBが緩和政策の維持を明確にするとともに、終了(あるいはテーパリング)について、一切言質を与えないことが最低条件だ。そして来週のFOMC(1/30-31)で、1月はなくとも、利上げに対する強い言葉がでることである。

 もちろん米国経済指標に予想以上に強い数字が出ることも重要だ。これらは言葉を変えていえば、良いのは当たり前、相当程度で予想以上になることが必要だ。例えば、1/26発表予定の第4四半期GDP(速報)である。先行指標とされるアトランタ連銀は3.4%(GDPナウ、1/18現在)、NY連銀は3.9%(1/19現在)と見込んでいる。これに対し市場予想は3%(年率)である。この数字以上の結果が出れば、ドル高へのシフトが出てくる。

 ただ、トランプ大統領から出ている貿易問題についての発言は気になる。国際経済フォーラム(ダボス会議)や、来週の一般教書の内容で、少しでもドル不安をもたらす発言が出れば、ドル安は一気に進み108円割れをもたらすことなろう。個人的には、そうならないと予想しているが、これこそ常在戦場、しばらく気の抜けない日々が続く。

 そこで、今後1週間の相場レンジとして、ドル円は109.20円~111.20円、ユーロは、対ドルで1.2180~1.2380、対円では134.50~136.50円と予想している。
(2018/1/24、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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