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第284回 ~長く続く夜明け前~

2018年03月28日

 先週金曜日(3/23)、ついに105円を割り、2016年11月9日以来の104.63円まで円高が進んだ。その日はちょうどアメリカ大統領選挙の日、トランプ氏の大統領当選の報が世界を駆け巡った日だ。まさに振り出しに戻った感じだ。

 105円割れは一気の流れであった。例のごとく、NY市場が終わり、東京が始まる前、オセアニア市場で起こった。105円割れの材料探しをしていた市場にぴったりのニュースが出てきたことで、市場の空白時間を狙った仕掛けが出た。これはすべてトランプ大統領に絡んだもの。追加関税に端を発した貿易戦争の拡大懸念が高まり、そしてマクマスター補佐官解任でトランプ大統領独裁化懸念も高まった。

 108円を割った時から、101.15円までは空白地帯でドル安進行は続くとの見方はあった。個人的には、そこまでドルが売られることはないだろうと思っていたが、ものの見事にその予想は裏切られた。今週に入り昨日から105円台に戻しているが、これでドル安の底値を付けたとは思えない。

 その理由の大半が、トランプ大統領の政治手法に起因しているからだ。就任当時に比べトランプ流への理解は深まったかに見えた。トランプ大統領の政治手法は、①これまでの政策を否定し、反対のやり方を志向。②まず大きなアドバルーンを上げ、そのあとに交渉、③「赤字」という言葉が嫌い。「赤字=Loss(損失)」と考える。だから貿易赤字の数字にこだわる、などだ。

 筆者も時間が経過すれば、市場も徐々に慣れてくるだろう、そうすれば、また好調な米景気や、金利見通しを中心となり、ドル高、株高の流れは落ち着いてくるだろう、と予想していた。就任してから1年経過して、このトランプ流について、市場は理解してきたと思えた。

 しかしそれは違った。まったく先が読めない、予想のつかない不透明さ、不安定さがますます増幅し、自分と意見の合わない閣僚、側近を簡単に解雇するなど、独裁化、軍事化していく怖さが高まってきた。トランプは「突乱夫」とも書く。「突」然「乱」れる「男」だからだ。その結果、恐慌(VIX)指数が上昇し、リスクオフを強めている。

 今後の見通しでは、徐々に円安ドル高にシフトしていくと予想しているが、現在のドル安要因が消えるには、ある程度の時間が必要だと考えている。「中朝首脳会談」は今後の世界覇権の主導権争いの激化を想定させる出来事だった。4月には、「日米」「南北」「米朝」など今後の世界覇権地図を変えるかもしれない重要なイベントが立て続けに来る。世界は大きく動いているのに、日本は何をやっているのだろう、もどかしい思いでいっぱいなのは筆者だけだろうか。夜明け前が一番暗い、というが、この暗さは、しばらく続くと見た方がよさそうだ。

 今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は104.00円~106.00円、ユーロは、対ドルで1.2300~1.2500、対円では130.00~132.00円と予想している。
(2018/3/28、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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