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第289回 ~2段階トレード準備の時~

2018年05月09日

 米ドルの回復力が目覚ましい。ドル円で、一時的とはいえ3か月ぶりに110円台まで上昇、イラン核合意からの離脱見通しを背景としたドル売りで、その後108円台まで反落したが、現在ドル円は109円台後半の展開となっている。実際に離脱表明がなされた後は、いわゆる材料出尽くしで「噂で売って、事実で買う」流れとなった。

 米ドルの強さは、まさにアクロス・ザ・ボード(Across The Board、全面的に)である。それも4/17(通貨によっては4/19)から、ほぼ続騰である。その日は、日米首脳会談が開催された日だったが、懸念された貿易戦争も表面化せずに、日米関係は見た目平穏に終了したことで4/19よりドルの上昇は加速した。加えて北朝鮮問題も建設的な話し合いになる予想を先取りしたような相場展開であった。

 米ドルの強さは、ドル指数でその傾向がはっきりと出ている。4/17を下値(89.23)に、本日(5/9)は93.40近辺まで約4.7%も上昇、約4か月半ぶりの高値となった。この動きはユーロの下落と軌を一にしている。ユーロは欧州の景気指標の悪化や、イタリア政局の不安定さを背景に4/17を高値(1.2414)に、今日までほぼ連日下落を続け、約4か月半ぶりの安値(1.1822)を付けた。約4.8%の下落である。ECBは債券購入を10月以降も継続せざるを得ないだろうとの見通しも、ユーロが軟調になった要因の一つである。

 ほかの通貨でみてもドルの強さは明確だ。対スイスフランでは、約1年ぶりにパリティ(1ドル=1フラン)を回復し、4/17から約5%上昇。対豪ドルでも同じ期間で約5.1%の上昇。対英ポンドでは、同じく約6.3%ドル高となった。先週のコラムで述べた「米ドルのユーフォリア(桃源郷)」が今週も続いていると感じさせる展開だ。

 さてこれからドルにどう対応するか。今は2段階戦術をとる時だと考えている。すなわちデイトレードと長期トレードの組み合わせである。トランプ大統領と金委員長の会談までは、方向性が確定できない。このような状況では、日中の売買取引に徹し、オーバーナイトポジションは軽くする方法をとる。

 一方で、景気、成長率や金利を比較すると、米国と日欧の差はますます米国優位で明確になった。高いところにお金は流れるという真理から言えば、ドルを買わないのは、投資の機会を失うことになる。。投機筋のポジションは今判明しているデータでは、ほとんどない。このような軽い状態では、方向が固まると一気に跳ねるので、値動きを見て、流れをつかんでいっても遅くない。このタイミングこそ、長期トレードの出番である。そのためにも、少額でも売買を続けることが大切と思っている。

 さて、今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は108.50円~110.50円、ユーロは、対ドルで1.1750~1.1950と予想、対円では128.80~130.80円と予想している。
(2018/5/9、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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