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第290回 ~110円超えで見えたもの~

2018年05月16日

 再びドル円は本格的に110円台に乗せてきた。終値が110円を超えたのは、今年の2月2日以来である。3月22日にドルは底値(104.60円)を付けてから約2か月。一方で3月22日の2か月前はドルが110円を割った日(正確には2018年1月24日)であり、チャート的には、このドル底値を中心に行ってこいの相似形を形造っている。ふり返れば、このドルが110円を割った時に、このコラムで「110円割れで見えたもの」を書いた。では、今、「110円超えで見えたもの」は何か。

 ここまでくると米朝首脳会談が実際に終わるまで気を緩めることはできない。6月12日までまかり間違えば、再び緊張感が市場を覆う場面が来るかもしれない。そのことを考えると、いつでも方向転換できるように身軽にしておくか、瞬発力をもって市場に向き合う準備をしておかなければならない。まさに24/7の世界である。すなわち一日24時間一週7日間、何が起こっても驚かないように常に準備しておくことが重要だ、という意味である。

 昨日、その心配が、やはり突然出てきた。北朝鮮からの南北閣僚級会議会議中止の宣言である。米朝首脳会談も中止の可能性があることを示唆している。これが本当のことであれば、リスクオフの嵐となる。しかし市場の反応は今のところ冷静だ。本気で思っていることでなく、ちょっとジャブを打ち込んできたとの見方であろう。ドル円は底堅い動きで110円台を維持している。これはひとえにドルの強さからきている。これが「見えたもの」だ。

 「お金は高いところに流れる」の言葉通り、高い米国を買う動きはようやく始まったばかりである。何よりも金利の高さが先進国では抜きんでている。昨日は10年債が3.094%まで上昇、約6年ぶり、2012年7月以来の高水準である。インフレ率も上昇、例えば日常生活に密着しているガソリン価格も急上昇、レギュラーガソリンが2.87ドル(1ガロン)と2014年後半の水準となった。FRBが6月のFOMCで利上げに動く確率がますます高くなった。

 また成長率も高い。18年第1四半期の速報値は年率2.3%であったが、第2四半期は、NY連銀は3%(アトランタ連銀は4.1%、5/15現在)の予想を出している。昨日発表になった小売売上高も年率(前年同月比)では、4.7%の増加と高水準を維持している。もっとも金利上昇を受けて、住宅ローン金利の上昇が、住宅市場に打撃を与える懸念もあり、その点は注意が必要かもしれない。ただ、短期的にはドル買い材料に事欠かないのが今の市場の空気である。「押し目待ちに押し目なし」の背景はここにある。

 さて、今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は109.00円~111.00円、ユーロは、対ドルでは先週と同じく1.1750~1.1950、対円では129.00~131.00円と予想している。
(2018/5/16、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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