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第292回 ~ドルと円は一心同体~ 

2018年05月30日

 過去一週間の為替市場は、ある意味、これこそ為替だ、と思わせるような値動きが見られた。為替の特徴はサッカーと同じで、プレーの時間(市場が開いている間)は、攻撃と守備があっという間に変わることである。野球と違い、攻めと守りが決まっているのでなく、ボールを奪えば攻撃、奪われるとあっという間に守備に変わるのがサッカーである。ドル円でいえば、ドル買いで進めていたが、あっという間にドル売り優勢に変わってしまったというようなことで、今回がまさにそのケースである。

ドル円はほぼ一週間前まではドルが続伸、10年債利回りが3%を超え、ドル金利上昇の勢いを背景に、ドルは上昇した。しかし先週21日の111.40円をピークにドルはあっという間に下落、昨日(29日)は108.10円近辺まで売られ、わずか1週間余りで約3%のドル安円高になった。まさにドルというボールをもって攻撃して(買って)いたが、リスクオフの嵐が市場に広がったことで、低金利で安全通貨と言われる(個人的には、この表現に違和感を感じるが)円が買われることになった。まさにボールが突然円に移ったといえる。円が安全通貨と言われる理由は、流動性が高い有力な通貨だからである。円は、いつでも出し入れ自由な現金預金に相当する資産に位置づけられる。

ところで、安全通貨といえば、米ドルを忘れることはできない。やはり世界で最も通用する通貨は、量、質とも米ドルである。今回も資金の退避場所として米国債に流れた。代表的な長期金利である10年国債利回りが、一時は7年10か月ぶりの3.127%まで上昇した。しかしこのリスクオフの流れで、ここ2日間は米国債購入が殺到し、債券価格は上昇、利回りは2.75%台まで低下した。ドル円上昇の大きな要因となっていた日米金利差が、大きく低下したことで、ドルは下落に転じた。

さて、ドル円だけ見ると、ドルは弱い通貨と見える。しかしドル自体の価値を表すドル指数は、95.03まで上昇、約5か月半ぶりのドル高水準となっている。4月17日の安値からほぼ連日上昇し、昨日まで6.5%も上昇した。このドル上昇の勢いは、2016年11月のトランプ当選時のトランプラリーに匹敵する勢いだ。95.149を超えると、2017年7月20日以来のドル高となる。この意味からいえば、今はドル高、円高である。

その原因はユーロの弱さだ。根源はイタリアの政治不安である。その問題がスペインまで飛び火したことでユーロ売りが加速した。ユーロは4月19日の高値(1.2400)から続落、昨日(29日)は、1.15割れ目前まで売られ、1か月余で約7.2%も下落した。実に10か月ぶりのユーロ安水準である。ユーロ暴落といってよい。イタリアの政治状況は混迷を深めており、再選挙は避けられない状態では、まだユーロの底が見えない。

今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は108.20円~110.20円、ユーロは、まだ下げ止まっていないが、今週は一時的な調整があると読んで、対ドルでは1.1500~1.1800、対円では125.50~128.50円と予想している。
(2018/5/30、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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