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第295回 ~貿易戦争は長期戦、気を許すな~

2018年06月20日

 先週は、米朝首脳会談に始まり、中央銀行ウイークであった。FOMCは利上げに前のめり、ECBは硬軟織り交ぜ玉虫色の優柔不断ぶり(ユーロ売りはこの決定に失望した結果)、BOJは進むも地獄引くも地獄の金縛り状態、まさに三者三様であった。

 ただ、間違いないのは、おかれている立場の違いがさらに明確になったことだ。金融緩和からの出口競争でいえば、米国はすでにゴールし、その先を走っている状態だが、欧州はやっとスタートし10メートルぐらいでこれから加速しようかというところ。それに対し日本はまだスタートラインの前でウォームアップ中で、まだ構えていない状態である。この違いが鮮明になったことで、金融政策的にはドル買い安心が出たといえよう。ドルインデックスは約11か月ぶりのドル高水準まで上昇している(6/20午後執筆時点)。

 しかし、ここに一大波乱要因が飛び込んできた。米国発の貿易戦争である。まさに米中のガチンコ勝負が始まった。と、見えるが、本当のところ中国はそうは思っていないかもしれない。中国側の発言を読むと、表面的には報復合戦に打って出る、という威勢の良い言葉になっているが、米国を、いや、トランプを相手にしていない、「俺は俺の道を行く」とばかり悠然と構えているように思える。それは、中国は、「結局米国のコストになり、自ら攻撃の手を引っ込めることになるだろう」と読んでいるに違いない、との見方だ。

 そして、これが為替にどう影響を与えているかといえば、「長期的」にはドルの価値は下落し、ドル円では100円を切るほどの力の差となると考える。筆者はこの貿易戦争の行きつく先としてそこまで極端ではないが、いずれ100円を切る円高になる可能性を否定してはいない。ただその時期を、筆者は2019年後半と考えている。ドルは安くなる前に高くなる、が今年の予想である

 では、ドル下落の兆しをどこからつかめるかといえば、一つは、米国債の保有残高の減少である。米財務省から、毎月15日前後に、2か月遅れであるが、外国人の米国債保有残高が発表になる。2018年4月末現在の中国保有残高は、1兆1,819億ドルで、全体(6兆1,690億ドル)の約19.2%である。2位が日本で1兆312億ドル(約16.7%)で、3位がアイルランドの3,004億ドル(約4.9%)である。上位2か国で35.9%を占め、影響の大きさがわかる。中国は前月より58億ドル残高を減らしているが、シェアーは高まっている。米国債売りは中国の伝家の宝刀かもしれない。この成り行きに注意を払いたい。

 ところで、長期の意味は、ディーリングの世界でいえば10分以上を言っているが、今のIT時代ではもっと短くなっているしれない。以前、自衛隊の幹部から、防空緊急発進の際の決定時間は10分が限度と聞いたことがある。それだけ、短期も長期もなく、決断は瞬時に行わなければならないということになり、ディーリングにおける瞬時の判断の重要さを肝に銘じてる。その変化の兆しをいかに捕まえるかが、これからの筆者の課題である。

 今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は109.50円~111.50円、ユーロは、対ドルでは1.1480~1.1680、対円では126.50~128.50円と予想している。
(2018/6/20、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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