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第296回 ~ドル・円が一心同体から別れるとき~

2018年06月27日

 「7月の雇用統計の発表時期を境に、ドル安円安が進む。ドル高の前にもう一回のドル安が来る、ただし大きく108円を割ることはない」。唐突であるが、これが筆者の現在の心境である。直近の高値(111.40円)と安値(104.61)の半値がちょうど108円である。

まず現況確認から。先週21日を高値にドルの上昇は一休止したように見える。一方で、通貨別にみると際立った特徴も見える。円以外の主要通貨の多くが、軒並み半年から約1年ぶりのドル高水準となっていることだ。例えば過去1週間で、豪ドル(0.7345まで売られ約1年1か月ぶりの安値)、カナダドル(約1年ぶりの1.3380台まで下落)、ユーロ(11か月ぶりとなる1.15割れ寸前まで下落)、英ポンド(約7か月ぶりに1.31まで下落)と揃って売られた。

反対にドルインデックスは上昇、先週は95.529と11か月ぶりの高値を付けた。それに呼応する形で、「金」は売られた。スポット価格は続落、年初来安値を更新し、今日は1オンス1,253.44と、昨年12月15日以来約7か月ぶりの安値水準となった。一方で、ドル円だけは110円をはさんだ気迷い状態で仲間外れとも言える展開だ。ドル一人勝ちとなれば円は6か月前水準の113円台まで売られてもおかしくないが、円は安くなっていない。ドルと円は一心同体(2018年5月30日付け当コラム)だから、と言ってしまえばそれだけの話であるが、ドルの強さと円の強さは根っこのところで理由が異なっている。

ドルの強さは、ファンダメンタルからくる。戦後2番目の長さで成長を続ける米国経済の強さと金利の上昇である。トランプ大統領は、この好調な経済に乗っかているだけであり、トランプのやや乱暴ともいえる貿易戦争は張り子のトラかもしれない。米国内からも、いずれこの影響がブーメランのようにアメリカに戻ってくる、と警戒の声も出ていることからファンダメンタルが崩れるとドルの強さは崩れるはずだ。

一方、円の強さは投機的である。「円が強いのはリスクオフで買われているから」というのが決まり文句になっているが、その基本的な理由は、流動性がある(量的、時間的に融通が利く)ことに尽きる。しかしこの現象はあくまでも一時的であり、逆説的だが、トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争に日本は必ずしも安泰ではない。この差を頭に入れておく必要があろう。

また、チャートで見ると、6月4日から、取引中心はほぼ移動平均線の21日線(本日現在109.93円)と200日線(同、110.18円)の間で動いているが、見方を変えると、三角持ち合いの収束に向かっており、方向が変わるのはそう遠くないと読める。その方向は下、すなわちドル安ではないだろうか。その時期は7月中旬。材料は、米国の景気後退の兆しが出ることで、一時的に108円台への円高になる。

今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は109.00円~111.00円、ユーロは、前週と同じで、対ドルでは1.1480~1.1680、対円では126.50~128.50円と予想している。
(2018/6/27、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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