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第297回 ~弱い中国元の実力を侮るな~

2018年07月04日

 今週月曜日に発表された日銀短観(6月調査)で、2018年度想定為替レート(大企業・製造業)は、107.26円であった。2018年3月調査では109.66円だったので、2.40円の円高水準である。3月末は106.25円だったが、107円台は4月中旬の水準だ。4月末は109.30円、5月末108.78円と円安が進み、6月調査なので、もう少し円安水準でもよいと思えたが、107円台とはやや意外であった。

 あたらしい期に変わったので、見直した結果であろうが、ここから導き出したのは、2018年はリスクオフ優先となる見通しを持っている企業が多いということだ。その原因としてトランプ大統領の貿易戦争を懸念したことが背景と考えられる。特に米中関係が大きな争点となるだろう。追加関税の適用開始となる7月6日が迫っていることで、中国に関する相場動向が大きな注目となっている。

 最近、上海株の急落がその懸念の大きさを表しているが、人民元の下落についても中国政府の対米戦略を読むうえで、重要な判断材料と考えている。上海株は6月19日に節目と言われる3,000ポイントを割って以来、ほとんど戻りがない(本日終値:2,759.13)。中国から資金が流出していることをうかがわせることは人民元相場を見てもわかる。今日は6.71台と、約11か月ぶりの水準まで下落した。中国政府は、下落スピードを緩やかにするために人民元買い米ドル売りの介入を行った、との観測がある。一方で、これはあくまでもスピード調整で、本音は追加関税のために落ち込むであろう輸出を補うために人民元安を容認しているとの見方もできる。

 先週末にIMFから発表された、世界の外貨準備の通貨別内訳(2018年3月末)では、中国元のシェアーは前期(2017年12月)末比増加していた(1.22から1.39%、以下同じ)。米ドル(62.72から62.48)や日本円(4.89から4.81)が減少していた中で、ユーロ(20.15から20.39)と共に増加した。この数字を見ると、中国政府は、人民元の信任が、徐々ではあるが着実に拡大していると、自信を高めたかもしれない。少し気が長い話であるがとすると、短期的には円相場はリスクオフ通貨として一時的に買われていくかもしれないが、将来を見据えれば、リスクオフ=中国元買という時代が来るかもしれない。

 とはいっても今週は米雇用統計の発表がある。ヘッドラインの雇用者数は先月の22.3万人に対し、今月の予想は19万人と小幅ダウン。先週の述べたように、三角持ち合いの収束も近い。追加関税の適用開始時期とも重なる。ダウン幅が大きくなれば、ドル円は一時的に下に抜けると予想している。ただ、個人的には、その場面は絶好のドル買い場と考えている。

 今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は108.50円~110.50円、ユーロは、前週と同じで、対ドルでは1.1500~1.1700、対円では127.00~129.00円と予想している。
(2018/7/4、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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