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第306回 ~ドル円は一休み、豪ドルに面白さ~

2018年09月12日

 ドル円は、8月6日以来、主に110.50円~111.75円の狭いレンジの相場展開が続いている。市場センチメント的には、トランプ大統領の言動を嫌気してリスクオフの円買いの流れが強くなるところだ。しかし最近は極めて短期間で円買いは打ち止めとなり、逆に111円割れでは、将来のドル高を見越したドル買いが根強く、買い戻しがすぐ入ってくる。

 多くの参加者は、ドルの資金吸収力がリスクオフの材料を凌駕するくらいの米国の圧倒的な強さを買っている、のではないだろうか。有事の円買いが今では有事のドル買いに戻っているようだ。投資の原則は「安全性、成長性、利殖性の高いところを買う」ということだが、日米を比較すると、成長率、景気、金利水準、株式市場、人口数など、米国の優位性は際立っており、個人的には、この関係が逆転しない限り円は強くなれないと考えている。

 加えて、低金利の円を長期間持つことに経済的合理性を導き出せない、との見方もできる。唯一日本が勝っているのは、政治の安定性。自民党総裁選挙は安倍総裁の3選はほぼ間違いないだろう。とすればアベノミクスは健在、低金利政策はしばらく続く。運用資産としては、円は安全性(現在はまだ有効)、流動性はあるが、これとて米国を引き離しているとは言えない。トランプ大統領の、ある意味気まぐれな政策に対する世界経済への悪影響に対する懸念があるが、それとて、米国に代わる資産を探すとなると難しい。せいぜい拡大10年目に入っている景気拡大が遅くない将来にトップダウンを迎えることを予想しての先物売りがある程度だ。

 こんな状況では、しばらくドル円をそばに置いて、違う通貨に目を向けてみるのも一つの方法だ。注目される通貨は豪ドルだ。昨日(9/11)には豪ドルクロスは2年7か月ぶりの安値となる0.7085米ドル/1豪ドルまで下落した。対円でも、78.69円まで下落(9/7)、1年10か月ぶりの安値となった。何よりも、米中貿易戦争の影響で、主要な貿易相手国である中国の景気後退懸念が大きいが、数か月前までは主要国の中で優位に立っていた金利競争力も、米国の継続的な利上げにより、その優位性も後退してきた。また豪州の首相が過去5年で延べ5人目となる混乱もマイナス要因だ。これまでの豪ドルの値動きを見れば、このまま底打ちとはなるとは考えにくい。

 それは過去20年の動きを見ると分かり易い。豪ドルは、大きく言えば60円~100円を繰り返している。具体的には、99.20円(1997/4)→60円割れ(2000/7)→100円超え(2007/5)→60円割れ(2008/10)→100円超え(2013/5)→72.20円(2016/6)→79.30円(9/12現在)である。1年9か月ぶりに80円台を割ったことで、次は70円割れが目標に見える。短期的には、移動平均線との乖離幅が大きくなったので、一旦豪ドルは上昇する可能性があるが、流れは豪ドル安と予想している。日豪の金利差があるので、取引は短期決戦となろうが、しばらくは豪ドルの「売って買い」が機能するのではないかとみている。

 今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は先週と同じで110.50円~112.50円、ユーロは、ECB理事会を控えているが、現状維持ながら景気に対してはハト派的見方が出ると読んで、対ドルでは1.1400~1.1650、対円では128.00~130.00円と予想している。
(2018/9/12,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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