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第315回 ~円安前の一呼吸~

2018年11月21日

 この1週間、円は114円から112.30円まで上昇。先週のタイトルであった「円は弱くない」ことが相場となって表れた。では、このまま114円は遠くなってしまうのか?その山場が11月末から12月上旬に来る。

 その主なイベントとは、米中首脳会談と米国雇用統計(12/7)である。あくまでも筆者の予想であるが、イベント終了後は、年末に向けて115円に向けてドル高へジワリと舵を切っていくと読んでいる。そこまでは円はリスクオフとして買われる場面があるだろう。

 その理由は、今の円高は季節的な一過性のものであり、再び好景気持続と利上げ予想を背景にドルの力が見直されると考えているからである。最近の円高の要因として、株価下落でリスクオフが起こり、米国の金利低下から日米金利差が縮小したことが挙げられ、米国サイドの変動がドル安をもたらしたと言える。

 欧米の決算期は11月や12月が多く、市場関係者にとっても、今は、1年の総決算の時期となり、益出しや決算確定の準備などで、ポジション調整が活発になる時期だ。IT銘柄を中心に、今年予想以上に上昇した株式の利益確定が出ていると聞く。一部には、もう天井を付けたのではないかという声も聞かれるほどだ。

 また、もう一つの為替市場の主役として、欧州動向もある。予算を巡るイタリアと欧州政府の攻防、大詰めに差し掛かっている英国の欧州離脱交渉が、その主な争点だ。日に日に、為替市場に影響を与えている。ただ、政治経済的に影響が大きい問題であるが、時期が来れば結果が出ると思えば、今は、夜明け前が一番暗い、という状況だろう。しばらくはキーパーソンの言動により、相場の変動を生むが、その後の方向性を確定することにはならないだろう。

 さて、今週木曜日は、米国は感謝祭で休日になる。翌金曜日は休日になるところが多く、金融市場も取引時間が短縮になる。いわゆるブラックフライデー(黒字になる金曜日)とも言われるほど、買い物がにぎわう。今年は、雇用環境も良く、減税もあったので、クリスマスにかけての売り上げ増加が大きく期待されている。この意味で、好景気、高成長を背景としたドル買いの流れは12月に入って再燃すると予想したい。

 ただ、来年になると、中間選挙の結果生まれたねじれ現象による議会の攻防(あるいは懸念される混乱?)が始まる。2019年の見通しは、また後日に述べるが、第1四半期は、年末からの流れを引き継いで、ドル高で推移するだろう。ただ、ベースとして考えているのは、2019年は、政治、経済的に波乱が多くなるという予想である。

 執筆中にドル円は、113円台に乗ってきた。日足の短期移動平均線(21日線)は113.04円、そしてサポートとしてみている中期線(89日)は112.10円前後である。今後1週間のドル円は、このレンジを中心に、112.50円~114.00円で推移していくと予想。一方、ユーロは、一日の値動きは激しくなるが、対ドルでは1.1250~1.1450、対円では前週と同じく127.50~129.50円と予想している。
(2018/11/21,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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