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第321回 ~二番底を忘れるな~

2019年01月16日

 新年早々、為替市場は、アルゴの暴走に翻弄されたが、ようやく落ち着きを取り戻してきた。しかし、一難去ってまた一難ではないが、今度は欧州からざわめきが広がってきた。英国議会下院のEU離脱案否決のニュースである。

 事前に予想されていたこととはいえ、与党からも反旗を翻した票が、100票以上も出て否決された意味は大きい。早速労働党党首のコービン氏は、今日にも内閣不信任案を提出する勢いだ。3月末に予定されているEU離脱期限に向かって、ますます混迷を深めている。ポンドも大荒れ。採決前に1.2670ドルまで大きく売られていたポンドは、結果が出て、1.2900手前まで大きく反騰。まさに「うわさで売り、事実で買い」を絵にかいたような相場展開になった。

 見方を変えれば、「材料出尽くし」とも言えるが、筆者は、今後の波乱の序の口と考えている。年が明け「合意なき離脱」の懸念が再認識された1月2日には、2017年4月以来の安値となる1.2380までポンドは売られた。今後のEUと英国の交渉次第では、この水準を突破する可能性がある。次の節目は、2017年1月以来となる1.2000だろう。

 さてドル円だが、ここ1週間は108円台で、落ち着いた相場展開となっている。ただ、これで、104円台を付けるほどの円高への圧力が消えたとは思わない。筆者の長年の経験から、二番底が来る可能性は高いと考えているからだ。

 やや、非科学的なことだが、「一度は神の救いあり」と、「救いと信じなければ神のしっぺ返しに遭う」という言葉を思い出している。最初の言葉は、いったん付けた値段は、時間をおいてもう一度つけに来るということを意味する。「神の救い」とは、大きく離れた値段(例えば今回は105円前後)で売った人は、売りポジションを解消するチャンスがあるということになる。

 すなわち、二番底を付ける(ドル円が105円前後まで売られる)局面が遅かれ早かれやってくることを表している。ただ、それが短期的に来るのか、しばらく時間をおいてくるのかは、時々の環境の違いによるので、相場変動のクセ(あるいは人間の心理のアヤ)として、常に意識しておかなければならないとの経験則である。筆者の見方はそのタイミングは今年後半と予想している。

 一方で、この言葉に関し、同時に次のような戒め=欲張れば神のしっぺ返しに遭う=もある。これは、二度目の相場到来を逆ポジションの解消の機会と思わず、それを儲けの機会と欲張り、売りポジションを膨らませれば、また損失が増えるという意味である。

 米国に目を転じると、米国政府閉鎖が史上最長を更新している中で、トランプ大統領への反発が、コアの支持者からも広がりが見え始めたとの報道を目にすることが増えてきた。また財政赤字も増え、債務上限問題も顕在化してきたことで、ますますドル売り圧力となる要因が溜まってきた。

 加えて米国の消費者物価も、総合指数が前月比マイナス0.1%と発表され、これまでの上昇スピードの変調も見える。ただ、これは原油価格の低下が主要因なので一時的であり、コア指数は、前月比+0.2%(前年同月比+2.2%)とまだ、上昇基調は続いているので、真剣に考える必要がないとの見方もある。しかし、他の経済指標と合わせ、米国経済の後退の足音が着実に近づいているのではないだろうか。

 今後1週間の予想レンジは、ドル円は107.50~109.50円。ユーロは、英国のEU離脱問題や欧州経済の停滞感を材料に、ユーロ軟調と予想、対ドルでは1.1280~1.1480、対円では123.00~125.00円と予想している。

(注)先週のユーロの相場予想表示が、大台違いになっていましたので、お詫びかたがた下記のように訂正します 
対ドル:(正)1.1300 – 1.1500(訂正前 1.1300 – 1.5000)
対円 :(正)123.50 – 125.50(訂正前 113.50 – 115.50)

(2019/1/16,小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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