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第327回 ~相場変動の「森」を見る~

2019年02月27日

 2019年は、新年の祝賀気分を吹っ飛ばしたアルゴ筋の暴挙(!?)で、始まった。それ以降、イベント、キーパースンの発言、経済指標などについて、発表があるたびに、相場は一瞬動き出す。今日、インド/パキスタン紛争を受けて、「地政学的リスク発生で円買い」が起こったことも、その例だ。わずか30銭足らずの円高となったが、110.40円割れは、12日ぶりで、かなり動いた、との感覚になる。しかし、それも長続きしない。

どんな小さい材料でも相場変動要因に結びつけていく市場心理がある。このこと自体は、とてもいいことである。先週のコラムで書いたように、これすなわち「魚釣りの極意」とでもいえよう。まさに、どんな小さな動きでも見逃さないハンターの精神にも、通じるかもしれない。

しかし、ここで気になるのは、このような値動きの小さな相場環境に慣れて、木ばかり見て、森を見ていないことになっていないか、あるいは小刻みに売り買いを繰り返すことに満足して、大きな流れを見失っていないか、という点である。

言葉を変えて言えば、このようなある意味、面白みのない市場で、取引参加者の心理が、ゴルディロックスになってはいないだろうか、という問題意識である。今風な言葉でいえば「ボーっと生きてんじゃないよ!」だろうか。そこで、今考えなければならないのは、今年起こっていることが、一過性なことなのか、何か大きな構造変化を示しているのか、という点である。

週間レンジでいえば、先週は55銭、今週も90銭足らずと、まるで凪状態だが、これは間違いなく、今は嵐の前の静けさだ、と考えなけらばならないかもしれない。ではその嵐は何か。今、市場が最も注目している「米中通商協議」、「FRBの金融政策の変化」、「英国のEU離脱の行方」であり、そこから考えてみたい。

まず、米中問題である。交渉過程から透けて見えるのは、米国の外交政策の変化である。当初は、トランプ大統領のごり押し、企業出身で「赤」字が嫌い、だから貿易赤字を解消するため、一番の大きな数字を持っている中国をターゲットにした、とも言われた。そのため、頭書は世界的な貿易量の縮小を招き、世界経済の後退をもたらすとの批判が出た。合わせて米国一国主義のごり押しだ、とも言われた。

しかし、その後の中国側の反応を見れば、米国の主張に一定の理解をし、中国政府は米国からの輸入拡大提案や、中国国内の景気浮揚策を打っている。一方、中国民間企業からは、「これは黒船だ(日本的な言葉遣いだが)。ビジネスチャンスが増える」と前向きな言葉も聞こえてくる。米国の立場も、一国主義でなく、世界経済拡大のための、いい意味での破壊者として評価される可能性が高くなる。

これを森として読めば、米国の外交の勝利であり、長いドル高の始まりともなる。すなわち米中通商協議は、米中問題でなく米国の世界戦略の橋頭保を築く第一歩との読みである。(他の2点は、次回以降に記したい)

さて、今後1週間の予想レンジは、今週から大きなイベント続きとなることから、ドル円は109.50~111.50円。ユーロは、対ドルでは1.1300~1.1500、対円では125.00~127.00円と予想している。

(2019/2/27,小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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