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第333回 ~歴史に学ぶ:紙幣刷新の意味~ 

2019年04月10日

マネーパートナーズからのお知らせ:筆者都合により、次回更新は4/24(水)の予定となります。

 新紙幣の発行が発表された。前回は2004年の発行だったが、その時の発表は2年前。ただし今回は、今から5年後の話だ。「えっ?」このニュースを聞いてすぐ思ったのは、これは円安だ、ということである。そのわけは、戦後の新円切り替えの理由とダブったからである。この技術革新のスピード化の時代、これはいくら何でも長すぎる。時間がかかる理由を尋ねられて、麻生大臣は「印刷開始までの準備期間や自動販売機の設備更新の準備のため」と答えているが、その理由を本気にしている人は少ない。

今から5年後の日本はどのようになっているかは、誰もわからない。しかし現在の状況が続くとすれば、財政債務が膨れ上がり、財政破綻の可能性が強く懸念される。日本の財政赤字はGDPの2倍以上で、GDP比では世界の中でも最大国(OECD調べ)。その解決策として選択肢を増やしておくことは、政府としては当然である。終戦後の政府債務の解消には、新円切り替えが行われた。

財務省はその懸念を払しょくさせるために、本件の発表(2019/4/9)でも、<ご注意ください>と最後に以下のような注意文を、わざわざ(筆者にはそう思えたが)加えている。

現行の日本銀行券及び五百円貨幣は、新しい日本銀行券及び五百円貨幣が発行されたあとも、引き続き通用します。
◎「現行の日本銀行券が使えなくなる」などを騙った詐欺行為(振り込め詐欺など)にご注意ください。

筆者も現行法では、同じことが起こるとは考えていない。しかし、歴史に学ぶ、として、過去に実際何が起こったかを知っておくことは重要と考える。

新円切り替えとは、昭和21(1946)年2月17日に公布された「金融緊急措置」(公布日施行)である。その内容は、①金融緊急措置令(勅令第83号)、②日本銀行券預入令(勅令第84号)、③臨時財産調査令(勅令代位85号)の3点セットであった。なお同時に、「食糧緊急措置令」と「隠匿物資等緊急措置令」が公布された。

法令の具体的な内容は、①はいわゆる銀行封鎖と言えるもので、預金を封鎖し、預金引き出しを制限、毎月世帯主300円(当時、以下同じ)、世帯員一人100円、定期的給与は月額500円まで新円で支払う。②は、新円・旧円の交換は約2週間、一人100円が限度。10円紙幣(のち5円紙幣に減額)以上はすべて金融機関預入。3月2日以降旧券は無効、とするもの。③保有金融資産(預金、信託、有価証券、無尽等)の申告。その結果を受けて、3月3日午前零時を期して財産調査。金額に応じて財産税を徴税。

その背景は、イ)インフレ対策(通貨供給量の縮小と過剰な購買力の凍結)、ロ)銀行の資金繰り救済(軍需産業貸出及び預金引き出し急増)、ハ)(これが実質的な目的と言われたが)政府債務の解消、であった。

当時は戦後の混乱期。現憲法施行(昭和22年5月3日)前、の昭和21年2月17日の法律(勅令)であり、現在同じ形で法令化することは不可能と言える。したがって、戦後直後と同じような状態になる確率は99.9%(100%と言いたいが、下記理由で99.9にした)はないと信じたいが、今「絶対ということはない時代」である。記憶も新しいが「絶対起こらない」、といわれていた金融機関が破綻したこともあり、今後も何が起こるかわからない。それゆえリスクオフで安全資産への回避が起こるのである。

この問題は、非常に長期的な話であるが、○○は忘れたころにやってくる、ではないが、歴史観をもって鳥の目を忘れずにいたい。

今後1週間の予想レンジは、ドル円は110.20~111.80円、ユーロは、対ドルでは1.1150~1.1350、対円では124.50~126.50円、そして英ポンド/ドルは、合意なき離脱回避のための期限延期が濃厚になり、1.2900-1.3300と予想している。
(2019/4/10,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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