FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

為替大観

最新の記事

第336回 ~トランプ・習会談まではドル買いのチャンス待ち~

2019年05月15日

 米中貿易協議も、最後は首脳会談での決着になるだろう。これまでの交渉過程や追加関税決定の内容については、多くの報道で整理され解説されているが、核心は、「中国が進めている情報網の世界支配を、アメリカは絶対に許さない」ということだ。単に貿易赤字の解消を目指しているのでなく、世界覇権にかかわる根が深い問題が底流にあると、読んでいる。ここにポリティカルエコノミーによる分析が必要になる。

 これまで、米中通商交渉は、閣僚会議が1月末のワシントンでの第1ラウンドから、5月9~10日まで、北京とワシントンを往復して、実に7回会合を重ねている。その間解決に向かっていると、楽観的に考えていた金融市場は、好調な米国景気も材料にして、株高、ドル高を演出してきた。しかし結果は、合意ならず。米中の報復合戦(見た目)に場面は転換した。その劇的な変化に市場は驚き、一気に状況は悪化、世界的なリスクオフになったのが先週から今週の動きであった。

 さて、今後どう進展するのかだが、中国にもあとには引けない事情がある。それは習主席のメンツである。とすれば、交渉の妥結には時間がかかり、リスクオフ相場が長続きする。一方、「米国は、このまま中国のやりたい放題を許さず、簡単に引き下がらない」。中国もアメリカの要求を受け入れることが出来ない。よって世界の成長に陰りが出て、このまま、市場の不安定が続く。ドルの下落はまだ序の口、円は買われ続け、108円では止まらず、今年の最高値104円台を目指す動きも出てくる、との予想になる。

 そこで、この問題を解くカギは、「トランプ大統領の心の内」と考えた。2020年の再選戦略として、この問題をどのように処理していこうとしているか、である。

 背景を整理すると、代表的な事象が5Gであり、ファーウェイ排除である。全体の交渉内容は、NAFTAや日米通商交渉(通称TAG物品交渉)の項目に沿ったもので、全体で22項目ある(ちなみにこの最後の項目が「通貨(為替条項)」である)。一つ一つ詰めていったが、最大の難関が「知的財産権」であった。G5という世界で最も革新的な技術であり、本来ならば、世界的に普及が必要とされる技術である。

 しかし、アメリカはG5により、これまで築き上げてきた米国集中の強固な情報網が崩れることになりかねない。その根幹が中国となれば、それを看過できないのも当然の帰結である。もともと軍事専用であったインターネットを民間開放したことで、世界的情報収集・監視ネットワークを完成させたのは、アメリカである。ファーウェイCFO(創業者の長女)の逮捕や、日本、欧州などに同社製品排除などで、硬軟入り交えて、中国の力を削ぐ戦術を駆使してきたのは、その布石であった。

 一方で、米中とも、けんか別れをする選択は、交渉のテーブルにはないと読んでいる。6月(28~29日、大阪)のG20で米中首脳会談が組まれたことから、あと1か月余り、閣僚間折衝を続け、一気に解決するシナリオが出来上がっているのではないか。とすれば、下がって(ドル)買いとなる。引き続き分析を加えていきたい。

 今後1週間の予想レンジは、シカゴ投機筋の巻き戻し(円買)が出ると読んで、ドル円は108.20~110.20円。またユーロは、イタリア問題を嫌気して、対ドルでは1.1050~1.1250、対円では120.50~122.50円、そして英ポンド/ドルは、欧州議会選挙(5/23~)を控えて、英国内の混乱が加速するとの懸念から1.2750-1.3050とポンド安が継続すると予想している。
(2019/5/15,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

コラム一覧

鈴木郁雄の実践トレーディング 外国為替古今東西 行天豊雄 外貨投資 転ばぬ先の智慧 田嶋智太郎
市場養生訓 小口幸伸
為替大観 小池正一郎
為替の話・トレンドを掴め! 木村佳子
武市のなぜなにFX 武市佳史

FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引および証券取引に関するご注意

パートナーズFX、パートナーズFXnanoおよびCFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格とには差額(スプレッド)があります。

取引手数料は無料です。ただしパートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの受渡取引に限り、1通貨単位あたり0.10円の手数料をいただきます。

パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの証拠金は、為替リスクを想定し通貨ペアごとに当社が定める額と、金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額のうちいずれか大きい額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。

CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。 国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.7%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,700円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 為替大観 > 第336回 ~トランプ・習会談まではドル買いのチャンス待ち~