FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

為替大観

最新の記事

第338回 ~飛び続けるブラックスワン~

2019年05月30日

 最近、「円は100円を切るのでしょうか」と、円高を心配する質問が増えている。今の為替取引参加者の多くは、円高がこれで止まるとは思っていない。また外貨資産を持っている投資家の心配は当然と思う。市場には「不安がいっぱい」という風が吹いている。しかし方向が一定せず、時には渦巻いている状態だ。ドル円は迷走状態になっており、いつ本格的な円高が起こるかと、内心ドキドキして相場を見ているのだろう。

 この質問に対する、筆者の答えは、「今年の円高は105円。ただ、円高前に一回の円安がある。しかし来年は100円割れとなると予想している」である。筆者もドキドキ感ではないが、緊張した毎日を送っているのも事実。すなわち現在のドル円の特徴であるドル高円高の「連れ添い高」が、いつかはドル安円高に変わる時が来る、と予想しているからだ。

 長年の経験からは割り切れない不気味な空気を感じている。その底流に流れているのが、リーマンショック以降の流行言葉となった「ブラックスワン」である。これは、起こる確率は少ないが、存在する大きいリスクを意味する言葉だ。今、世界を飛び回っている代表的なブラックスワンは、①米中貿易戦争の拡大、②ブレグジットの新展開(メイ首相の党首辞任による英国の合意なき離脱確率の急上昇)、そして③欧州議会選挙の結果から浮かび上がってきたユーロ下落の危機、である。

 まず①について言えば、もはや貿易問題でなく、IT技術や防衛などを含めた覇権争いである。ファーウエイ排除はそのいい例だ。このまま放っておけば、中国が、米国の三つのパワー(軍事のハードパワー、経済や文化のソフトパワー、そして、これらを融合させたスマートパワー)を脅かす重大な存在になると、米国は気が付いたのだ。

 昨日突如出てきた中国がレアアースの輸出を制限する可能性があるとのニュースには、肝を冷やした。「中国の新たな対抗措置か!」 だとすれば、一大事件である。中国はレアアースの生産や米国への輸出の約80%を握っているからだ。一方で、胸をなでおろす発表もあった。米国のいわゆる為替報告(2019年前半分)で、中国を為替操作国に認定しなかったことだ。一筋の光明でもある。米国も、決して全面的に争うことは本意でないと感じた。

 そして、次のリスクは、英国の「合意なき離脱」への懸念が高まってきたことだ。メイ首相の保守党党首辞任発表により、始まった。新しい首相の選定が6月10日から行われる。選挙後は、ポンドは買われた。最終結果を待っているかのように、これまでの売りポジションの利食いだ。しかし首相候補者の顔ぶれを見ると、今度は売り仕掛けが出てきた。まだ、2016年のブレグジットが決まった相場まで売られておらず、ポンドは「セルオンラリー(買われたら売り)」が今後の戦略になるとの見方だ。1.20割れが次のターゲットになる。

 これに加えて厄介なのが「欧州通貨安」だ。欧州議会選挙が終わり、親EU政党が多数派(全751議席のうち505議席獲得、現地時間5/28 18時現在、欧州議会発表)になったが、前回選挙(529議席)より議席は減らしている。しかし、これまで過半数(376)以上を獲得していた代表的な親EU派の欧州人民党(EPP)と社会民主進歩同盟(S&D)の合計が、今回過半数割れとなる。これは大きな衝撃だ(前回選挙時412から今回は、現在は331議席)。新議員による、議会は7月に開会するが、EUの結束が弱体化するリスクが高まってきた。現在は、1.1136ドルだが、1.1割れが視野に入り、長期的にはパリティ(1ユーロ=1ドル)の可能性も再浮上してきた。

 さて、今後1週間の予想レンジは、ドル円は108.50~110.00円。またユーロは、対ドルでは1.0980~1.1200、対円では120.50~122.50円、そして英ポンド/ドルは1.2300-1.2700とポンド続落と予想している。
(2019/5/30, 小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引および証券取引に関するご注意

パートナーズFX、パートナーズFXnanoおよびCFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格とには差額(スプレッド)があります。

取引手数料は無料です。ただしパートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの受渡取引に限り、1通貨単位あたり0.10円の手数料をいただきます。

パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの証拠金は、為替リスクを想定し通貨ペアごとに当社が定める額と、金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額のうちいずれか大きい額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。

CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。 国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.7%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,700円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 為替大観 > 第338回 ~飛び続けるブラックスワン~