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第347回 ~見えた日銀の覚悟~

2019年07月31日

マネーパートナーズからのお知らせ:筆者都合により、次回更新は8/8(木)の予定となります。

 日銀の決定会合が波乱なく終わり、残すは今晩のFOMC。市場の予想では0.25%の利下げがコンセンサスとなっている。日銀は、6月の会合は、FOMCの決定を見てから決められたが、今月はFRBより先に決定する日程。日銀としては、円高を引き起こすことは避けたいと考えたはずだ。そのため、当日発表になった声明文や、黒田総裁の記者会見からその苦悩が滲み出ている。これまで。会合終了を待って円高が進んだ経験があるからだろう。

 1月は、発表日には109円台だったが、翌日からは円安に転換した。しかし今年3月以降は、発表日にすぐ円高となり、その後もじりじりと円高が進んだ。まず3月(15日)は111円台であったが、約1週間で108.50円まで円は買われた。4月(25日)は、112円台(円安値:112.24円)と一段と円安水準だったが、その日のうちに111.37円まで円は買われ、その後約3週間にわたって、円はじり高、109.02円まで上昇した。また6月(20日)は、同じく発表日に約1円(108.12円から107.21円まで)円高となり、その後も5日間で106.78円の円の高値を付けた。ただこの時は、その円安に転じ、約3週間で108.99円まで円安となった。

 この間、日銀は現状維持を続けた。4月には、フォワードガイダンスで、2%の物価目標維持と、長短の低金利水準を2020年春まで維持することを加えたが、これは3月のECB決定(低金利を2019年末まで維持)を見習ってのこと、市場では大きな変更とは受け取られなかった。物足りないとの判断で円は買われたのである。

 そして今回である、ECBはすでに低金利水準を2020年央まで維持と決め(6月会合時)、今回はさらに、水準に言及し、現状かそれ以下(present or lower)と、切り込んだ。それに比べれば、今回の日銀の決定は、いかにもインパクトがない。国債などの資産買い入れ金額はこれまでの同水準を維持、金利水準についてもこれまでの声明と全く同じ文言。声明を読んだだけでは、日銀は本気で緩和を続けるつもりか疑わしくなってくる。

 100歩譲って、無策でないことを探すと、二点ほどこれまでとは違うということが出てくる。第一点は、声明文で、6月にはない文章が加わっていることである。6月には「(2%の、‐筆者注‐)『物価安定の目標』に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う」。で終わっていたが、今月はその後に「特に・・・」が付記されている。その内容は、「・・・モメンタムが損なわれるおそれが高まる場合には、躊躇なく、追加的な金融緩和措置を講じる」とさらなる緩和策導入に含みを残したことである。FOMCの切り下げ幅が0.25%でなく、0.50%となる場合や、0.25% でも、その後の利下げを確実とするような声明文やパウエル議長の発言が出た場合の、日銀の覚悟を示したものと受け止めている。

 もう1点は、会合後の黒田総裁の記者会見で、同じ文脈、同じ言葉の発言が多発されたことである。為替市場でも、この心構えを日銀はもっていると察していることで、ドル円相場もやや円高だが、円高が進むとの展開になっていない。今後の相場は、今晩のFOMCの決定次第だが、もし市場のコンセンサス以上のことが決められた場合は、日銀のお手並み拝見となろう。

 個人的には、0.25%の利下げを「予防的」と位置づけ、今後の方向性については、予断を持たず、データ次第と表現すると予想する。すなわちドル円相場には、どちらの方向にも決定的な材料にならず、むしろもう一段の利下げには慎重であるとの見方になり、ドルは上向きになると予想している。対英ポンド、対ユーロで、ドル高基調が続くと考えられることもドル高をサポートすると考えている。

 さて、1週間の予想レンジは、ドル円は、107.90~109.20円とややドル高を予想。またユーロは、長期的にはもう一段の低下を見ているが、今週は売られすぎの調整で1.1100~1.1300、対円では120.50~122.50円と考えている。ただ英ポンド/ドルは合意なき離脱についての混迷が深まり1.1980-1.2250ともう一段のポンド安を予想している。
(2019/7/31, 小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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