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為替大観

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第349回 ~ディーラー魂~

2019年08月14日

 昨晩(日本時間8/13 22時過ぎ)、USTR(米国通商代表部)よりの突然の発表でドル円は急騰。1時間余りで105.22円から106.97円まで、1.75円上昇した。米中通商摩擦の拡大を背景に、市場はさらにドルを売りたいとニュースに目を凝らしていた時であった。シカゴ投機筋も、久しぶりに円の買い持ちに転換。市場は、ドルのショートポジションをさらに傾けたいと考えていた矢先であった。

 多くのディーラーは、そのニュース(消費財を中心に対中追加関税の適用を12/15迄延期)を聞き、瞬時にドルの買戻しに入った。短時間に大きなドル上昇は久しぶり。一瞬何が起こったと身構えた。しかしこの行動こそが為替ディーラーの本分だ、ディーラー魂は生きていると実感した。今では、アルゴリズムなどのIT取引が主流になっているが、この相場展開は、自分がそうであった20年前をほうふつさせるものと感じた。まさに「為替ディーラーはスペイン人」である。

 この言葉は、戦後6年目にベストセラーになった「ものの見方について」(1951年、笠信太郎著)の一文を基にしたもので、筆者のアレンジである。その本の書き出しに、「イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えた後で走り出す。スペイン人は走ってしまった後で考える」とある。筆者は、この文章に触れ、思わず膝を打った。「これこそ為替ディーラーを理解する言葉だ!」と。

 ディーラーは、いかに人より早く行動を起こすか、と常に考える癖がある。理由は考えずに少しでも相場が動いたら、直感的に行動に移る。これが「まず走る。理由は後で考える」に通じる。今は、アルゴ取引が主流となり、1秒もかからずに相場は動き出すので、ITのスピードという言葉に隠れているが、実態はディーラーの行動様式を具現化したものだ。

 この行動は、ある意味ディーラー間の競争である。売買した(今回は買った)後に、自分の後に誰もついてこなかったら、すぐに反対売買でひっくり返せばよい。もし自分の方向と一致した場合は、上昇の勢いが崩れる前に利食うこともできる。

 今回は、107円に届かなかった、そして、徐々にドル買いの勢いが萎えているように感じる。ドル売りの材料はあまりにも多岐にわたるからだ。景況感の悪化でみられる米景気の後退懸念、米利下げの継続、香港やアルゼンチンなどでみられる通貨不安の世界的波及の懸念など、一瞬たりとも気が抜けない。トランプ大統領のツイッター発言もこれまでの政権では考えられないような破壊力がある。

 そして何よりも、今回の決定も、取りやめでなく、感謝祭からクリスマスまでの年末商戦を控えての4か月だけの延期である。その間に交渉を続ける時間の猶予にもなるが、対中摩擦の本源的な解決にはならないことも、本格的にドル買いに方向転換するだけの力にならず、リスクオンへの転換を難しくしている。

 と、ここまで書くと、「ドルは売るしかない」ということになるが、個人的には「本格的なドル下落の前に、一度は円の買われすぎの反動(ドルの買い戻し)が起こると考えている。いわゆる神の救い(110円以上でドルを買った人に対する救いの場面)である。

 さて、1週間の予想レンジは、ドル円は、105.80~107.20円とレンジ相場を予想。またユーロは、長期的に低下傾向は維持され1.1050~1.1250、対円では117.00~120.00円と考えている。また英ポンド/ドルは1.1900-1.2150と、1.20割れ挑戦が続くと予想している。
(2019/8/14, 小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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