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第382回 ~見たことのない相場~

2020年04月22日

原油価格がマイナス?? 4月20日の原油相場がマイナス37.63ドル。そんなことがあるのか? 値段がマイナスとは、品物を買ってお金をもらうことだ。預金や債券のマイナス金利は市場ですでに取引されているが、原油では史上初めてのケースである。今まで見たこともない相場だ。これをどう考えたらよいか? 為替相場にはどのような影響を及ぼすか?

まず、今回のマイナス相場のいきさつであるが、仕組みを知れば。これは特殊なケース、相場を悪くする複数の要因が同時に出てきたことで発生したもの、すぐに世界がひっくり返ることにはならないとの見方もできる。

さて、マイナス相場とは、「買ってお金がもらえる」こと。例えば日常品などであれば、買い手は殺到するであろうが、ただ、今回は品物が原油である。誰もが買う必要があるものではない。先物取引では、決済期日が来れば、買い手は現物を引き取らなければならない。実物となれば、引き取った品物を保管する場所が必要である。すでに保管施設は満杯の買い手は、手数料を払っても、売り戻さなければならない。その手数料価格で、おりあったのがマイナス相場となる。

そこで、今回のマイナス相場の仕組みを整理しておく。今回マイナスとなった原油価格とは、米ニューヨークのマーカンタイル取引所で取引されているWTIというNY原油の先物相場の5月限月の価格である。WTIとは、West Texas Intermediateの略で、テキサス州で産出される高品質の原油のことで、世界的な原油価格の指標になっている。決済日は毎月25日と決まっており、取引は3営業日前(25日が休日の場合は4営業日前)が最終日となる。5月限月の取引最終日は21日で、今日22日からは6月限月が期近取引となる。ちなみに、4/20の6月限月の終値は20.43ドル。マイナス相場は5月だけであった。

今回のマイナス相場は、数日前からの原油相場下落で、その予兆は表れていたが、20日には、決済期限前の買い手の相殺売り希望が殺到、スパイラル的に急落していった。その大きな原因は、在庫余剰である。そのデータは、米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が毎週水曜日に発表する原油在庫の増減量で分かる。4月になって一気に急増。4月1日には、13.8百万バーレル増で、前週の1.6百万増の約8.6倍となり、その後も、15.2 百万増、19.3百万増と増加。今日発表の増加幅も注目される(予想は+15百万)。ほかにもクッシング在庫(オクラホマ州にある北米の石油産業の一大中心地の地名)が重要な指標になっており、4月1日以降やはり大幅な増加となっている。

このように現象的には特殊に見えるが、コロナの影響で、世界経済が後退すれば原油需要は大幅に低下することは明らか、マイナス相場は原油だけと短絡的に考えることはできない。6月限月の4/21終値は11.57ドルと大幅に低下、マイナス相場が続いていく可能性が高い。混乱が深まれば、原油のマイナス相場の状態が当たり前になり、他の市場にも感染していくことになる。相場とは経済の状態や人間の心理を表すもの、最初は砂のようなものでも、転がっていけば雪だるまのように大きくなるものだ。

この意味で、今後の相場動向には、一時も目を離すことはできない。見たことにない相場が当たり前に出てくること、これが、進化したニューノーマル、ニューエコノミーだと言えるかもしれない。為替にも見たことのない相場展開が考えておかなければならないかも知れない。休載中にしっかり考え、自分の考えを明らかにしたい。

今後3週間は、ドル円は、106~110円。またユーロは、対ドルでは、1.0700~1.1100、対円では115.50~119.50円、英ポンド/ドルは、1.1900-1.2500と予想している。

今後2週間は、休日のため休載、次回は5月13日になります。

(2020/4/22, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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