FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

為替大観

最新の記事

第393回 ~FRBの政策変更は先~

2020年07月22日

今月は6月に続き、世界三大中央銀行の政策決定会合が行われている。すでに終了した日銀、欧州中央銀行は、両行とも現状維持、残りは来週28~29日開催の米FRBを待つばかりとなった。ただ、世界最大の中央銀行FRBも現行政策からの変更は行われないと予想する。

しかし金融市場には、無視できない動意が起こっている。まずは金相場。そしてユーロである。この話は、後半に展開するとして、まずはFRBの現状について確認しておきたい。金利政策は、3月15日に当月2回目の引き下げ(1%の下げ)で、一気にゼロ金利(公式には、フェッドファンド誘導金利0.00-0.25%)として、それを現在まで維持している。変更するとすれば、次はマイナス金利となるが、パウエル議長は何度も否定しており、現状のFRBのスタンスを考慮すればその方向での変更はありえない。

一方、量的緩和についてあるが、3月に大幅な資金供給プログラムを導入したばかりで、実際に大口の貸し出しが始まったのは、主に4月後半以降である。設定枠に対する消化はまだわずか、当面は進捗状況を確認する時期と考えられる。具体的に、一番の注目プログラムは、一般企業向け融資(Main Street Lending Program)であるが、融資枠は6,000億ドルの設定で、6月15日から実行に移された。7月15日現在の実行残高は、FRBのバランスシートによれば、375億ドル(消化率は約6.3%)である。

当プログラムは、実質一般企業への貸し出しとなるが、1930年代の大恐慌以来、約90年ぶりと言われている。いわば中央銀行の奥の手とも言ってよい手段である。それだけ、今回の新型コロナに対する経済への影響を重く受け止めていることを示しており、FRBとしてもこのプログラムの成果をしっかり見定める時間が必要である。ほかにも貸し出し対象を分けたプログラム(融資枠として、1.1兆ドルから100億ドルまで計8本)が導入されているが、大半が始まったばかりで、使用率は低い。今は、今後の動向を見定める段階であり、新たな緩和策は出ないとみられる。

さて、現在の市場動向だが、ドル円は引き続き107円ばさみの展開だが、気持ち円高基調になっている。米経済は回復過程と思われる指標が続き、また株価も相対的には堅調で、ドル高要因がある反面、コロナ感染率の増加、米中摩擦の激化などのドル安要因もある。加えて、昨日は、米中長期金利が低下、10年債は0.59%と4/21以来の低水準となり、ドル安に輪をかけた。ドル指数も95割れ寸前まで低下しており、6月30日(97.802)からの低下基調に歯止めがかからない。

このドル安の要因に、ユーロの急伸がある。復興基金が4日間の精力的な協議の末に合意ができたことが大きい。欧州の力が発揮されたことを評価し、ユーロは1.1547まで上昇、2019年1月以来の高水準となった。ユーロに対する見方を変えなければならないかもしれない。

一方、このドル安の動きを受けて、金相場の上昇からも目が離せない。スポット価格で、1,865.82ドル(1オンス)まで急伸、2011年9月以来の水準となった。これまでの最高値が1,920.74ドル、最高値更新が視野に入り、2,000ドル超え予想も増えてきた。世界的なドル離れの動きが出ているかどうか、慎重に見極めていきたい。

さて、今後1週間、ドル円は106.50~108.00円と予想。またユーロは、対ドルでは1.1450~1.1650、対円では122.50~124.50円と予想、また英ポンド/ドルでは1.2500-1.2800と予想している。

(2020/7/22, 小池正一郎)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産取引業協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 為替大観 > 第393回 ~FRBの政策変更は先~