FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

為替大観

最新の記事

第397回 ~金とドル~

2020年08月19日

先週の金相場の動きから、ドル安は止まっていないとの感触を持った。今のドル安はファンダメンタルズでなく、政治的と見たほうがわかりやすい。すなわち米ドルの価値を引き下げようとする仕掛けが市場を支配してきているとの考えだ。これに対し、ドルの下落を阻止する動きが出てくるかどうか、注意深く見ていかなければならない。

まず、これまでの金相場の値動きをみる。6/8(安値1,677.37ドル)から9週連続して上昇、8/6には2,074.92ドル(1オンス、スポット価格、上昇率は23.7%)の史上最高値を付けた。しかしあまりにも早い上昇速度を見て、スピード調整のような利食いが入り急落、8/12には1,900ドルも割れ、一時は1,862.13の安値(下落率10.3%)を付けた。その後徐々に値を戻し、昨日8/18には再び2,000ドルを回復し2,015.60まで上昇、今日は2,000ドル前後で、もみ合っている。

そして、市場心理はドル安に傾いている。その要因はこれまでとは変わりがない。コロナと米中断絶への懸念だ。米国は11月(3日)に米大統領選挙を控えており、米国経済の本格的な回復への確固たる見通しも出てこない。不安定リスクが高まっていることで、ドルへの投資を減らしている。その一例が、あれだけ「金」を嫌っていた著名投資家のバフェット氏が、金鉱株への投資を明らかにしたことだ。

個人的には、今年はドルは大きく売れらないとの考えを持っている。トランプ氏が大統領である限り、再選目指してドルの暴落をもたらす政策はとらないとの見方だ。一方でドルよりも株式相場が順調であれば、ドル価値には大きな比重を置かないとの見方もあり、これが筆者にとっては、一つの不安材料だ。

米国景気は、順調とは言えないまでも、昨日発表になった住宅着工指数が、許可件数も含めて予想を大幅に超える増加を示すなど、着実に上昇している。そして株価はV字回復だ。ナスダックは連日史上最高値を更新しており、S&P500は、昨日ザラバ(3,395.06)、終値(3,389.78)とも市場最高値を付けた。ダウ工業平均は最高値には届いていないが、上昇基調は維持している。

逆に言えば、これだけ米国株価が堅調にもかかわらず、ドルが売られているということになり、そこに投機筋の仕掛け、あるいは、政治的な見えざる手が働いているかのようなにおいを感じる。ファンダメンタルズ的な考えでは、米ドル資金の余剰感が後退しない限り、ドル軟調の流れは変わらないといえる。2年3か月ぶりの高値を付けているユーロが大きく売られる要因も今は少ない。

今後1週間の予想レンジは、ドル円は104.50~106.50円。またユーロは、対ドルでは1.1820~1.2020、対円では125.00~127.00円。また英ポンド/ドルでは1.3050-1.3350と予想している。
(2020/8/19, 小池正一郎)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産取引業協会

このページの先頭へ