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第457回 ~インフレは止まらない~

2021年11月17日

もはや115円到来と言ってよい。10月20日(114.70円)以来のドル高値(円安値)更新。2017年3月半ば以来のドル高円安水準となった。ドルインデックスも約1年4カ月ぶりに96台に乗せ、ユーロも大幅下落、米ドルの全面高である。

それにしてもユーロの急落ぶりには驚いた。今日の一気の1.13割れは、投機っぽい仕掛けを感じたが、しかし米国の好調さに比べれば、欧州は出遅れ感があり、また新型コロナ感染者の増加への懸念も考えれば、買いより売りの地合いは自然の流れとなろう。ただ、昨日まで5日連続の陰線、下落のスピードは抑えられるとみている。

一方で、米ドル買いに下支えになっているのは、米ドル金利の上昇である。米10年債は先週12日に付けた1.570%(終値)を底に三日続けて上昇、昨日は1.640%とほぼ3週間ぶりに高値をつけ、今も時間外で上昇している。米国の経済好調を示す証であると言ってよいだろう。

米国には、現在三つの課題がある。しかしその難問を乗り越え、目に見える形で投資機会を増やしていることが、米国への資金流入の要因である。確かにバイデン大統領は支持率を落としているが、それでも公約をしっかりと形にしている。15日に署名した「インフラ投資法案」がその一つ、5年で1兆ドル(約115兆円)の規模である。老朽化施設修復への投資でアメリカは生まれ変わると、産業界でも期待が大きい。続いて中国習近平国家主席と3時間半にわたるオンライン会談を実施。成果は今後現れると期待されているが、ともかく目に見える形で動いていることは、市場の懸念を和らげる効果となっている。

では、その課題とは、まず①供給制約問題である。いわゆるサプライチェーンの機能不全、配達の遅れ(バックログ)が大規模に発生しており、多くの企業が部品不足に陥っている。特に海運の遅れが目立ち、米国ロスアンゼルス・ロングビーチ港で待つコンテナ船滞留が日に日に増加していることが頻繁に伝わってくる。運賃の上層、コンテナの確保、トラックの確保等、価格上昇のラッシュとなっている。

次に②人手不足である。バイデン政権の多額の失業保険給付で、働かなくて生活できる状態から、9月に給付が終了した後も、あえて仕事に戻っていない。毎月の雇用統計で確認できるが、その数日後に労働省から発表になるJOLT(求人労働移動調査)を見ると、米国の労働環境がよくわかる。自発的離職(Quits)が毎月のように増加しているが、これはより良い仕事、給料の高い仕事を探して、自分から会社を辞める人が増えていることを意味している。ちなみに米有力経済紙のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)では、「今が良質の仕事を探すタイミングと思う人の割合」が急騰しているとの調査結果を伝えている。賃金の上昇が進んでおり、インフレの大きな要因にもなっていると判断できる。

そして③ペントアップ・デマンド(急激に一気に発生する需要)の急増である。小売売上高指標を見れば、状況をつかむことができる。新型コロナで抑えていた消費が一気に高まった結果であり、ここでも価格の上昇が起こり、インフレ進行の要因となっている。昨日10月の小売売上高が発表になったが、米国民の消費意欲は旺盛である。前月比+1.7%(予想は+1.4%、前月+0.8%)、前年同月比は、+16.3%(前月+14.3%)と大きく、また、パンデミック前の2020年2月比では、+21.4%と前月(+18.9%)より上回っている。来週からのクリスマス商戦でも消費の拡大は続くとみられる。

債務天井問題が目の前(12月3日に延長期限到来)あるが、今は前進している政治、経済の高揚感で、株式三市場とも高値更新が続いている。当面は米国の強さを信じたい。
さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は113.75~115.25円と予想。一方ユーロは、対ドルで1.1200~1.1400、また対円では129.00~131.00円とユーロ安を予想。英ポンドは 1.3300~1.3500とポンド安を予想する。

(2021/11/17, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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