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第478回 ~始まった介入準備~

2022年04月20日

 円売りの勢いは止まらない。あっという間に129.40円まで円は売られ、2002年4月以来の円安になった。またクロス(カッコ内は円の最安値)で見ても、円は豪ドル(95.79円)、カナダ(102.64円)、スイス(136.16円)、ユーロ(139.68円)に対して、それぞれ2015年以来の円安となり、ポンド(168.43円)に対しても2016年2月以来と、円の全面安状態が続いている。

 ドル円についての予想では、5月には130円があるだろうとしていたが、この勢いではそこまで待てないだろう。もはや明確に今月中の130円超えを意識した相場展開だ。こうなれば次の節目は130円でなく、135.16円(2002年1月の円安値)となる。もちろん一気に到達するとは思えないが、そこに至るまでの節目である、130円(大台)、132円(筆者が考える2/8理論点)、133.60円(2002年4月安値)は、チャート的には短命であると見えることから、これまで円安をもたらした要因に大きな変化がなければ、そう時間がかからず、135円に向かうであろう。特に来週以降相場を左右するであろうイベントが続く。そして5月に入れば、日本の大型連休が控えている。これまでも日本の休みの間は相場が大きく動くという例にいとまがなく、まさに24/7(一日24時間一週7日間)の体制が続く。

 しかし、「そんなに簡単なことだろうか?」と50年の経験から手繰り寄せて、円高に向かうシナリオを考えてみた。そのきっかけとなったのは、昨日の鈴木財務大臣の発言である。「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは悪影響を与える」という言葉である。「オッ! キーワードが出てきた!」と、突然「介入」の単語がよみがえってきた。「介入」については、急速な円安進行に対し、市場でも急速に浮上してきた見方だが、筆者は過去の実例から導き出した。

 介入には、日本の場合、米国の了解がいる。しかし、そのお膳立てが揃ってきたことで、「いよいよ、介入実行に対し準備開始の指令が出た」と読んだ。鈴木大臣の言葉は、これまでのG7やG20の財務大臣・中央銀行総裁会議の声明文と同じ。大臣が自ら発言したのでなく、事務方が振り付けしたのであろう。すなわち、内部の検討開始のメッセージを市場に送ったものだと判断した。

 その言葉とは、「為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済及び金融の安定に悪影響を与えうることを認識する」(G7は2017年5月の声明文を、G20は2021年4月の声明文を、最新の会合で踏襲)である。そのG20が本日、ワシントンで開催される。鈴木大臣も急遽渡米し、参加することになった。米国と膝突き合わせて、話を詰めてくるであろう。今回発表になる声明文で、言葉遣いが変更なるか注目したい。

 これまで、日本の介入は、ドル買いがほとんどで、ドル売りとなると1997年と1998年しかない。しかし、その時の相場は130円を超えたところ。今回介入が行われれば、ドル売りとなり、一つのターゲットして今の130円は意識しておきたい相場だ。黒田総裁は財務省時代に多額の介入を実行したので、介入の効果を十分認識している。介入成功の要素は「びっくり」「継続」「協調」である。必要な時にはいつでも実行できるように準備を重ねておくことは必要だ。実際に行われるまでに、口先介入、レートチェックなど、いくつかの手順があるが、来週以降の日銀決定会合や5月初めのFOMCの結果も踏まえて、「過度で無秩序な変動」とみなされれば、躊躇なく実行するであろう。今後も日米当局者のキーパーソンの発言にジャンボな耳で備えたい。

 さて、今後1週間の相場レンジ予想であるが、ドル円は、早すぎたドル高の調整が入り、127.00~129.50円と予想。一方ユーロは、フランス大統領選挙決選投票を24日に控えて神経質な展開で、1.0650-1.0900で推移すると予想。もしルペン候補が勝利すれば1.05割れも可能性がある。対円では、136円-139円と予想する。また英ポンドは1.2900-1.3100と先週とほぼ変わらずと予想する。

(2022/4/20, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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