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第484回 ~円安最終章の始まりは近い~

2022年06月08日

ドル高の勢いが止まらない。本稿を書いている間も、大げさに言えば、棒上げ状態である。
あまりにも早い展開に驚くばかりであるが、しかし、一方で、「相場は空には届かない」との言葉もある。どこかでこの流れは落ち着くはずだ。そこは何処だろう?そう思いながら本稿を書いている

さて、今回のドル高は3月に始まった。筆者は出発点を114.81円に置いている。その後のドル上昇は、週足で見れば陽線(1週間を通して、週末金曜日のNY市場終値が、週初月曜日のオセアニア市場の始まり値より、ドル高となるケース)が9週連続となった。途中3週間の陰線(上記の比較で逆のドル安となるケース)が入ったが、先週は再び長い陽線となり、今週も陽線が続いている。もう134円に近付いてきた。こうなれば狙いは135.16円(2002年1月高値)だとはっきりしてきた。

ところで、このドル高は、むしろ円独歩安と言ってよい。例えば、対ユーロで7年5か月ぶり、対豪ドルでもちょうど7年ぶりの円安水準だ。さて、この円安は何処で止まるのだろうか。単純に言えば、ドルを買いたい(あるいは円を売りたい)人が減れば、相場の流れは逆転する。それがわかれば、相場の方向性も見えてくる。

しかし、当たり前のようだが、その需給関係を知ることは簡単ではない。ましてや現在は市場の8割(あるいは9割)が実需以外で、かつコンピューターで秒以下の早さにて取引される世界である。まさに「見えない手」が相場を左右している。それを知るためのインテリジェンスはあるが、誰もができる技ではない。今のドル高(円安)要因がなくならない限り、この円安(ドル高)の流れは止まることはないだろう。

しかし、「ちょっと待てよ!」大局的に相場を眺めてみた。すると筆者の目に見えてきたのが、短期(1か月)円安、中期(6か月)円高の図である。今の相場変動要因が未来永劫に続くことはない。その転換は意外と早く来るのではないか。場合によっては、今月にもその兆しが現れるかもしれない、との思いが湧いてきた。

それは早ければ今週にも始まる。明日9日に欧州中央銀行(ECB)の理事会があり、10日には、米国で消費者物価指数(CPI)が発表される。既にECB関係者から利上げ支持のコメントが出ており、長期金利の上昇でわかるように市場も利上げを織り込み始めた。政策金利の一つである預金ファシリティ金利(現在、マイナス0.5%)を、7月、9月と2会合で0.25%ずつ引き上げて、マイナス圏を脱出させるとの予想が高まっている。しかし、引き上げ幅が0.25%でなく、0.50%であったり、あるいは引き上げ時期を7月でなく、即6月から実施されたりすることはないだろうか。そうなればユーロは大きく買われる可能性がある。市場予想に対し、結果が異なる場合、サプライズとなって、市場は大きく反応する。この点で言えば市場の織り込み状況、内容を知っておくことは重要だ。

そして米CPIの発表が翌日に続く。予想は、総合が、前月比+0.7%(前月は+0.3%)、前年同月比は+8.3%(前月+8.3%)で、一方コアは、前月比+0.5%(前月+0.6%)、前年同月比は+5.9%(前月+6.2%)となっている。落ち着き始めてきたとなれば、米ドル金利が低下、ドル売り(あるいは上げ止まり)になるとの見方もできる。来週開催されるFOMCの決定にも影響を及ぼすかもしれない。

今後1週間、ドル円は、米国で2つの大きなイベント(10日の消費者物価指数と14-15日のFOMC)があるので、荒っぽい展開となるだろうが、レンジは131.80~134.80円とドル高を予想する。一方ユーロドルは、ECB理事会での利上げサプライズの可能性もあると考え、ユーロドルは1.0550~1.0850、対円でも、140.50円~144.50円と予想する。また英ポンドドルは1.2400~1.2700と現状水準での維持継続と予想する。

(2022/6/8 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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