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市場養生訓

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第677回

2017年07月04日

 20年も前のこととなると記憶が曖昧になり、思い出すのも難しくなる。しかしアジア通貨危機は違う。昨日のことのよう、とはいかないが、いくつかの出来事は鮮明によみがえる。

 97年の春、ニューヨークの銀行からタイバーツの取引を求められた。銀行同士、レートを求めたり、求められたりするのは普通のことだ。アジアの時間にニューヨークの銀行が取引を求めに来ることも珍しくない。ビッドとオファーの建値をして、それで売買するか、興味がなければ、それでバイバイと去っていく。

 だがそのときの相手は違った。桁違いに大きな金額の取引を求めてきた。当時タイバーツはマイナー通貨で2,3百万ドルが普通で5百万ドルは大きい方だった。アジア市場ではバンコクでも無理だろうからロンドン市場に行ったらどうか言った。内心ロンドンでも無理とは思ったが、クレージーなディーラーがいるのもロンドンだ。可能性はある。

 すると相手はバーツの構成通貨の割合が分かったので一緒に取引をしないかとの提案を始めた。

 当時タイバーツは通貨バスケットにより対ドルレートを決めていた。バスケットの構成通貨やその割合は非公表なので、ドルタイバーツのレートを予測するのは難しい。ただ市場でのドル、マルク、ポンド、円などの変動から大まかに推測するしかない。私もそうやってバーツのポジションを時々持った。

 相手がなぜそのような情報を私に教えるのか、なぜ一緒にドル買いバーツ売りをしようと誘ったのか。それはわからない。相手はその後一度も私(の銀行)を呼んでこなかった。

 バーツはその後下落の一途をたどり、タイ当局は地場銀行にバーツの為替取引を禁止した。そしてロンドンがバーツ取引の主戦場になった。そこでは同じ銀行でタイの中央銀行がバーツを買い、アジアやニューヨークなどの銀行がバーツを売る光景が続いた。

 タイバーツはアジア通貨危機の始まりとされているが、韓国ウォンなど他のアジア通貨でも同様な光景がロンドン市場で見られた。中央銀行は急減する外貨準備に悲鳴をあげた。

 アジア通貨危機は、短期の外貨資本を、長期のインフラ投資などに流用した構造的ミスマッチが背景にある。そこでは資本流出が通貨安を招き、借入金額が膨らみ、それがさらに資本流出を促し通貨安を加速させる悪循環を生み出した。

 この20年間でアジアの資本市場は発展し、自国通貨で債券を発行して資金調達できるようになった。依然として外貨資本に頼る部分はあるが割合は低下した。資金調達も長期資金の部分が増えてきた。

 それに外貨準備額も当時と比較にならないほど増加した。アジアの中央銀行同士が通貨危機の際に資金を融通しあうスワップ網も拡充した。

 一方で通貨危機の主役だった通貨の売り手にも変化がある。米国では金融規制改革の一環で銀行の自己勘定による取引が禁止されてしまった。90年代のいくつかの通貨危機での主要な売り手の両輪であったヘッジファンドと銀行の片方が欠けてしまった。

 その点ではアジア通貨危機の再来の可能性は低い。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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