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市場養生訓

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第680回

2017年07月25日

 10年以内にIMF(国際通貨基金)の本部は北京に移る可能性がある。現在IMFの本部があるワシントンでIMFのトップが言った。

 IMFと言えば、米国主導による国際協調の象徴的システムの一つで戦後の国際金融体制を支えてきた。そのトップでさえ国際協調体制に後ろ向きなトランプ政権に危機を抱いている。この調子だと国際的なリーダーシップに意欲的な中国に国際機関は牛耳られてしまうけど、それでいいのかという警告の意味の発言だろう。

 そのIMFが最新の経済見通しを発表したが、世界経済の成長は今年3.5%、来年3.6%と前回見通しと変わらないが、中身が変わった。

 米国の見通しを従来の今年2.3%、来年2.5%から両年とも2.1%に引き下げた。トランプ政権が減税やインフラ投資などを実行できる可能性がほとんど無くなったからだ。英国も今年は1.7%へ引き下げた。

 一方で中国、EU、カナダそれに日本の経済成長を引き上げた。中国は先日第二四半期の成長率を発表したが6.9%と想定を上回った。IMFの見通しでは今年6.7%、来年6.4%だ。

 EUとカナダはそれぞれ今年1.9%、2.5%へと引き上げた。日本は0.1%引き上げ1.3%とした。

 今回成長率を引き上げた国はいずれも国際協調に積極的な国であり、引き下げた国は消極的とされている国だ。その背景には貿易の伸びがある。

 世界貿易の伸びは金融危機以降、経済成長率を上回ることがなかったが、今年は4%と上回る見通しだ。

 またこうした経済成長率の引き上げ国と引き下げ国は現在の為替レートの傾向に概ね合っている。

 その中で特に米国がポイントになっているは言うまでもない。

 大統領選の前、トランプの経済チームではIMF体制の見直しを議論していた。歴史的構想を持った政策を打ち出すのかもしれないと期待したが、当選後は単に出資の額を減らして米国の負担を軽減すると言った矮小化された主張しか政権からは発信されなくなった。

 これではドルに期待は持てない。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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