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市場養生訓

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第700回

2017年12月19日

【お詫びと訂正】前回更新時、先々週(12/12)の原稿を誤って掲載しておりましたので、本来12/19にご入稿いただいていた内容を改めて掲載いたします。このたびは大変ご迷惑をおかけしましたこと、お詫び申し上げます。

 12月も後半に入って、休暇を取る市場参加者もぐっと増える。今年のパフオーマンスの良かった人は楽しい休暇を味わっているだろうし、不十分だった人は今さらじたばたしてもしょうがないので、来年こそはと英気を養っていることだろう。今年も市場を振り返る時がいた。次のポイントが挙げられる。
1.利上げにもかかわらずドルの上昇は限定的だった。
 FOMCのメンバーの見通し通り、今年はフェッドファンドを3度利上げした。利上げ幅は計0.75%。しかしドルの上昇は限定的でドルの指数は下落した。短期金利の上昇でイールドカーブはフラット化したが、これは長期金利の上昇が限定的のためだ。それは先行きインフレ率が上昇しないことやさらに景気の回復力が鈍いことを示しているとの解釈も可能だ。イールドカーブのフラット化が逆イールドの過程だとすれば、先行きの景気の悪化さえ読み取ることも可能だ。こうした市場の懸念がドルの重しになってきた。

2.中国の資本流出、人民元安傾向が劇的に変わった。
 昨年の大量の資本流出とそれに伴う人民元安傾向は中語はもとより世界の金融市場を不安定化させた。これは中国が進めてきた人民元の国際化に伴う資本取引の自由化や市場の自由化の促進政策の中で起きた。
 これに対して当局は資本取引規制や市場取引の規制で対応した。結果として資本流出の減少や人民元相場の反転をもたらした。世界の金融市場に対する中国発のかく乱要因は大きく減少した。
 だが問題はこれで収束したわけではない。習近平も指摘したように金融システムのリスクは今後中国が取り組むべき重要なリスクの一つだ。それは債務の拡大のリスクをどう管理し、制御するかだ。その成否が世界の金融市場に対して大きな影響を持つのは必至だ。

3.ユーロが政治リスクを克服して上昇傾向を示した。
 ポピュリズム政党の台頭で欧州は反EU,反ユーロの勢いが増すかと思われたが、5月のフランス大統領選を契機に沈静化した。政治リスクが後退してユーロへの需要が増した。これはドルの上昇が限定的だったこととも関係がある。外貨準備の運用者がユーロの割合を増やしドルを減らしたのは、そうした傾向を反映したものだ。
 ECBは景気回復に慎重な見方を変えていないが、国債購入の減額を決め出口戦略の道筋を示した。それにポルトガルを始めユーロ圏の景気が上昇相傾向にあることは、出口戦略の前倒しも期待させ、将来のユーロにポジティブだ。
 ただポーランドの独立記念日での大規模なデモやオーストリアの極右政党の連立政権入りなど中東欧での政治リスクは沈静化するどころか拡大している。ロシアとの関連でこうしたリスクがどう展開するか予断を許さない。

4.新興国通貨がドル金利上昇にもかかわらず比較的安定した動きを見せた。
 ドル金利への感応度が強い新興国通貨はこれまでドル金利の変動に振り回されてきた。それが今年は様子が違った。
 その背景には新興国の外貨準備額が増加したことやスワップ網の拡充などで危機対応力が高まったこと、現地通貨建ての資本市場の発展などで以前ほどドル資金への依存度が高くないことなどが挙げられる。それにドルの上昇が限定的だった1.のポイントも大きい。
 ただ以前より割合は減ったとは言えドル資金への依存度は高く、政治的リスクも比較的大きい。あくまでも相対的なバランスの中での安定であることは忘れてはならない。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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