FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

市場養生訓

最新の記事

第715回

2018年04月10日

 最近の為替市場の特徴の一つに新興(市場)国通貨の安定がある。ドル金利の上昇に脆かった新興国市場通貨は次のステージにレベルアップしたとの見方も生まれた。

 自国通貨建ての資本市場の発展、増加する外貨準備、スワップ協定など国際協定の拡充などがそうした見方の根拠となった。外貨建て債務は依然として膨らみながらも通貨の安定を保ってきたのも市場の信頼度が増したからだ。

 だがよく見れば米国の金融政策の転換を示唆したテイパータントラムの時などにたたき売られた通貨の様相を最近見せているものもある。

 トルコリラは対ドルで先月末あたりから4.0を超え、直近では4.07の最安値水準で推移している。年初からは7%強の下落だ。トルコのGDPは昨年7.4%の高成長を記録したが、インフレ率は二ケタの高水準が続き、景気過熱気味だ。経常収支の赤字も拡大した。にもかかわらず大統領は景気刺激策を週初に発表した上に、利下げを求めた。

 大統領は元々高金利がインフレ率の上昇をもたらすという考えの持ち主で低金利礼賛者だ。あとは中央銀行が利上げを実行できるかどうかだ。これまでも似たような状況で利上げを実行したことはあるが、絶大な権力者の大統領の意向に背くことは容易ではない。利上げがなければリラ安は止まりそうにない。

 ロシアルーブルは米国の利上げや諸々の経済制裁にもかかわらず、昨年から最近まで対ドル50台後半で安定していた。新興市場国通貨安定の代表だった。だが今週になって大幅に売られ60台に乗せた。直近では60.5水準で推移している。

 最近の米国の制裁措置がルーブル下落の主因だ。ロシア産業界を牛耳るオリガルヒやその関連会社を対象にしたものもので、株、債券、通貨のすべてが急落した。シリアでの化学兵器使用に関してトランプ大統領がロシアは多大なコスを払うとの警告も市場の下落に拍車をかけた。

 問題はこうした新興市場国の主要通貨の一角のほころびが新興市場国通貨全般に広がるリスクだ。

 中東などでの政治リスクがどんな形で発生するかは見通しがたい。その展開とタイミングによってはリスク拡大の可能性は否定できない。

 ただBRICs通貨を見ると、インドルピーや南アランドはそれぞれ直面した政治リスクを克服して今のところ崩れる兆候はみられない。人民元は米中貿易戦争で人民元安に向かうことは考えにくい。米国が韓国とのFTAの際に為替条項を持ち出したことも人民元安の可能性を小さくしている。

 その点では見通せる限りにおいては新興市場国全般に広がるリスクは今のところ小さいと言える。
 

※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

このページの先頭へ

2018年06月26日
2018年06月19日
2018年06月12日
2018年06月05日
2018年05月29日

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

コラム一覧

鈴木郁雄の実践トレーディング 外国為替古今東西 行天豊雄 外貨投資 転ばぬ先の智慧 田嶋智太郎
市場養生訓 小口幸伸
為替大観 小池正一郎
為替の話・トレンドを掴め! 木村佳子
武市のなぜなにFX 武市佳史

FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引および証券取引に関するご注意

パートナーズFX、パートナーズFXnanoおよびCFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格とには差額(スプレッド)があります。

取引手数料は無料です。ただしパートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの受渡取引に限り、1通貨単位あたり0.10円の手数料をいただきます。

パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの証拠金は、取引の額の4%の額と、金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額のうちいずれか大きい額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。

CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。 国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.7%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,700円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会

このページの先頭へ