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市場養生訓

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第722回

2018年05月29日

 トランプは米国の大統領になってあらためてドルの威力の大きさをかみしめているに違いない。核兵器は抑止力にはなるがロシアや中国など核保有国には使えない。だがドルは使える。

 経済制裁にはいろいろな段階があるが、最終的にドル決済が不可能になれば当該国の企業の発展は見込めない。それがあるから米国当局から巨額の罰金を科せられたら無視できない。ドルにより米国は自国の法を事実上外国に適用することも可能だ。

 トランプの経済チームは大統領選を前に国際金融システムの再構築を議論したと言われるが、それはドルに対する世界の依存体制だ。ドルが過剰な負担を負わされているという認識だが、その延長線上に米国の貿易赤字の削減政策がある。

 だが現実には世界にばらまかれたドルにどっぷり浸った国際金融システムのおかげで米国は絶大な政治力を発揮している。

 その点では貿易戦争を仕掛けるトランプの政策は矛盾をはらんでいるのだが、彼に矛盾を指摘しても何の意味もない。

 米国が今後も世界に対して経済制裁をちらつかせながら政治目的を達成しようとするのなら、世界は対処法を考えなくてはならない。トランプに論理や理念は通用しない。ドルの力をそぐこと以外にはない。

 ドルは現在、国際取引の決済通貨として、外貨準備の構成通貨として、さらに外為市場の取引通貨としても圧倒的なシェアを有している。ドル基軸体制と言われる所以だ。

 中国がSDRの準備通貨としての役割を拡張しようとしたり、ロシアが旧ソ連圏を中心に原油取引のドル建てを廃止する試みや、中国が原油先物市場を創設して人民元建ての原油取引を促進しようとしたりと、ドル基軸体制からの脱却の動きは中国やロシアを中心に始まっていることは確かだ。

 だがその歩みは遅々としている。近い将来その動きが大きなうねりになる見込みも薄い。人民元やSDRをドルとパラレルな基軸通貨体制にするのは近い将来の現実的な選択ではない。

 現実的な選択としてはユーロだ。ユーロは決済通貨としてはドルとそん色はない。外貨準備通貨としてはドルの半分に満たないシェアだが、ドルに次ぐ二番目のシェアだ。三番目以下のシェアはぐんと落ちる。中国、ロシアはもちろんEUやアジア諸国が結束してユーロを決済や準備通貨として利用する努力をすれば、ドルとユーロの二極体制は非現実的ではない。

 さらにこうした企て自体がドルのポジションを急速に低下させる作用を持つ。いずれにせよ世界はトランプ再選の失敗を待つばかりでは希望は生まれない


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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