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市場養生訓

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第748回

2018年12月04日

 G20終了後、中国の習近平国家主席はパナマを訪問した。インフラ建設の促進が目的の一つだが,もともと米国の影響が強い地域だ。米軍の侵攻、傀儡政権の樹立、支配者を捕まえ米国で裁判にかけたこともある。それに通貨は米ドルだ。独自の通貨はない。

 米中貿易協議は中国がいくつかの約束をして米国は来年1月から関税の10%から25%への引き上げを見送った。期限は3か月だが、休戦の合意が成立した。

 だが今回の合意を主導した財務長官も合意の実行性に確信が持てないようだ。

 それは裏を返せば中国の方針の揺るぎのなさの表れなのかもしれない。中国の一帯一路や中国製造25など中長期的方針の下で今回の貿易問題を位置づけていることを財務長官は強く感じたのではないか。会談後すぐに米国の庭であるパナマに行くのもそうした文脈で捉えられる。

 ところで金融市場は変化しつつある。FEDの議長、副議長、それに地方の連銀総裁などが相次いで来年の金融政策の不透明感を口にしはじめた。もはや来年に3回の利上げという従来のFOMCメンバーの平均的な見通しは実質的に塗り替えられたようだ。つまり金融市場の見方にFEDが近づいてきた。

 直近では米国10年債のイールドは2.96%、イールドカーブはフラット化が進み、10年債と2年債のイールドスプレッドは15ベーシスポイントと10年来の水準に縮小している。

 為替との関係で見れば、こうした変化をもっとも反映するのは新興国通貨だろう。今年の新興国通貨安の背景にあったのはドル金利の上昇だからだ。そこに経常収支の悪化や資本流出が加わり、さらに国によっては政治的混乱もあり通貨安に拍車がかかった。

 そうした根本的な背景が変わるならば、新興国通貨のトレンドは変わるはずだ。ただ先進国通貨に対しては複雑だ。ポンドはBREXITがあるし、ユーロはイタリアの予算案やポピュリスト政党の台頭などの政治状況がある。いずれもドル安を打ち消す作用を持つ。

 ただそうは言っても為替取引の9割近くがドル絡みの取引の市場ではドル金利の影響は何よりも大きい。
 

※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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