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市場養生訓

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第752回

2019年01月08日

 年初から円は跳ねてドル円は104円台になったが、円高傾向が見込まれたとはいえ市場が薄いこともあって値が飛び、額面通りには受け取れない。ストップロスの注文を意識的につけに行ったりする薄い市場特有の仕掛けのディーリングがはまったことによる結果だろう。

 こうした短期的な投機為替の影響は為替レートを見通す上で重要だが、中長期的な為替の需給を考えることも同様に重要だ。中長期的な観点から参考になるデータの一つに世界の外貨準備の通貨構成がある。

 昨年第3四半期末のデータがIMFから発表されたので気づいたポイントを列挙する。

1.ドルの割合(61.94%)の低下傾向は依然として続いている。経済制裁を受けているロシアはドルを大幅に減らしたことを明らかにしたが、ドル依存のリスクに敏感な国は増えている。従ってドルの割合は今後増えるよりも減る傾向が続く可能性が高い。問題は世界最大の3兆ドルを超える外貨準備を持つ中国の動向だ。IMFのデータを継続的に読む限り中国のドルの割合は6割弱と考えられる。

2.ユーロの割合(20.48%)は増加傾向が続いている。ドルに次ぐ通貨のユーロはドル離れの際、第一の受け皿になるのが普通だ。第三四半期の時点では昨年からの景気拡大やそれを受けての量的緩和政策の終了など、ポジティブな要素が多かった。だが以降、景気への懸念や政治リスクの高まりなどネガティブな要素が増えてきた。これらが中長期のポートフォリオに影響する可能性がある。

3.円の割合(4.98%)の増加傾向が続く。2017年の第一四半期にポンドを上回り、以降ほとんど第三番目の通貨としての位置づけになっている。次の四半期には5%を超える可能性が高い。安全通貨・避難通貨とみなされている円は世界のリスクの高まりの中で今後も需要が増えると思われる。

4.人民元は2016年第四四半期からデータに計上されて以降、増加傾向を示してきたが、今期は前期に比べて減少した。人民元の国際化、市場化にブレーキがかかってきた。人民元安や資本流出に対して規制で抑制してきたが、こうした方針が人民元の国際化を遅らせている一因だ。

5.ポンドの割合(4.49%)はこの時点でほとんど変化がない。BREXITが影響するのは必至だが、その行方はまだ不確定だ。

6.ドルの割合は減少しているが絶対額の増加額は前期に比べ700億ドル増とどの通貨よりも多い。つまり実際の需給ではドル需要が一番多かったことになる。ドルの割合が減少しかつ増加額も他の通貨よりも少なくなった時、あるいは減ったときが本格的なドル離れの始まりになる。



※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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