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市場養生訓

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第791回

2019年10月29日

今週はFOMC(米連邦公開市場委員会)が今日明日、日銀の政策決定会合が明日明後日、そして金曜日にはECBが国債の購入を開始して量的緩和を再開する、など金融政策のイベントが続く。
注目のFOMCだが、金融市場の見方は今週0.25%の利下げがあり、以降来年を通して利下げ後の水準であるFF金利1.50-1.75%が続くとの見方が多くなっている。
直近の先物市場のレートから類推する可能性を見ると、今週の利下げは94%、確実と言っていい。次回12月のFOMCでは現状維持(利下げ後の水準)の可能性が75%と1週間前の66%から増えている。その分更なる利下げの可能性が減った。こうした傾向は来年の金利の見方にも当てはまり、利下げの可能性が減り、金利水準に変化なしの見方が1年を通じて最も多くなっている。
こうした金融市場の見方は、パウエル議長が以前の利下げ時に言及したミッドサイクル アジャストメント、つまり利下げに舵を切ったのではなく金利正常化の過程での調整局面との見解に符合する。
こうした金利観の変化は長期金利にも反映され、米国債のイールドは直近では1.85%と上昇気味だ。
一方、FOMCの翌日に金融政策を発表する日銀は、現状維持の見方が多くなっている。ただFOMCの利下げがほぼ確実なだけに一層の緩和策を打ち出さないと円高に振れることを指摘する声もある。
だがFEDの利下げが確実な状況で長期金利は上昇気味だ。日銀が一層の金融緩和策を採らなくても金利差が縮小する可能性は小さい。その点では円高懸念は杞憂になる。ここでいう金利差は長期金利のことだが、長期金利は機関投資家などの資本移動を誘発する要因なので為替レートに影響する。
だが短期金利も為替レートに影響する。と言うのも短期金利差はポジションを持ち越すときのスワップポイントに反映されるからだ。つまりドルショート円ロングのポジションが持ちやすくなる。特に為替市場は投機為替が圧倒的に多く9割以上だ。だが市場状況にもよるが通常大半はポジションを持ち越さずに当日に決済する。だから為替レートへの影響もそれほど大きくはない。
こうした点から日銀はあまり円高懸念を抱く必要はないが、それでも幾分かの円高の可能性も払拭したいのなら金融緩和姿勢の継続の強調など何らかの緩和策を打ち出す手はある。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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