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市場養生訓

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第817回

2020年06月09日

 リスクオン/オフのトレードが続いている。金曜日は米国雇用統計の予想外の数字の発表でリスクオントレードが加速した。5月の非農業部門の雇用者数が250万人も増加した。失業率も13.3%と前月から低下した。もっとも休業者の扱いの点で統計上の数字に疑問を持つ人もいるが。
 為替ではリスクオンでドル、円、スイスフランが売られ、新興国通貨、ユーロなどが買われる展開だ。
 ただこうしたリスクオンの市場センチメントはドル金利の上昇には繋がっていない。ここでいうドル金利は短期金利のことだが、金融市場では政策金利のフェッドファンドは現行の0-0.25%が来年まで継続するとの見通しが圧倒的だ。(フェッドファンドの先物金利から推測する可能性は85%だ)
 だが長期金利を見るとイールドカーブのスティープニング化(利回り曲線の順イールド化)が進んでいる。長期金利が上昇しているためだが、以前はほとんどフラット化した2年債と10年債のスプレッドは直近では64ポイントもある。一時逆イールドだった3か月と10年のスプレッドも50ポイント以上に広がった。
 そこで今週のFOMCだ。火曜と水曜の二日間だが、FEDは既に金利をゼロ%に下げ、無制限の量的緩和政策や様々な貸し出し政策を発表した。そして新たにイールドカーブコントロールを打ち出すかどうか。長期金利の抑制策で米国は第二次大戦のときに実行した政策だが、現在は日銀が採用している。長期金利の上昇が抑制されれば金利面からのドル上昇要因は減少する。
 さらにFEDの政策から為替に影響する要因を見ると、ドル余剰の問題がある。コロナ危機で発生した信用危機でドル需要が高まったとき、FEDは社債の購入などの新たな政策を打ち出す一方で、海外でのドル不足に対しては各国中央銀行との間のスワップ協定を通じて世界にドル資金の供給をした。
 これで信用リスクの拡大を抑制するとともに流動性リスクを回避した。リスクが収まれば残るのはドルの余剰の問題だ。これは中長期の問題だがドル価格の下落に作用する。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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