FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

市場養生訓

最新の記事

第822回

2020年07月14日

 ユーロをドルと並ぶ世界の基軸通貨にする、ユーロ誕生時のユーロ圏首脳の夢だった。ユーロ圏を拡大し、人口も経済規模も米国を凌駕する目論見だった。それから20年以上経った。だが未だ夢は実現していない。
 それどころかこの間ユーロ圏の債務危機などでユーロ崩壊の危機に直面した。EUには加わってもユーロの採用には二の足を踏む国もあった。ユーロ導入を拒否していた英国はEUからの離脱を決めた。ネガティブなことばかりだ。
 だが最近久しぶりにポジティブな事柄も出てきた。ユーロ通貨圏の拡大の可能性だ。先週末、欧州財務相会議でブルガリアとクロアチアERM2に入ることが承認された。ERM2とはユーロとの為替レートを一定の範囲内の変動に収める仕組みで、2年間この仕組みの中で変動させることがユーロ参加の条件の一つだ。
 具体的にはブルガリアの通貨レフは対ユーロ1.95583を中心レートに、クロアチアの通貨クナは7.53450を中心レートに上下15%の変動内に収める。
 ユーロ参加への条件は他にもある。ユーロ圏の経済への収斂だ。経済のパフォーマンスがあまりにも違い過ぎるとユーロの価値を損なうリスクがあるからだ。具体的にはインフレ率、金利、累積債務、財政赤字などの基準数字が定められ、それらをクリアしなければならない。
 もっともギリシャのようにユーロ参加時の統計の数字を改ざんして後で発覚したり、ユーロ参加後基準を超える例は珍しくない。財政赤字のGDP比3%以内や累積債務のGDP比60%以内などはコロナ感染拡大の中で実現するのは難しい。柔軟な対応は必至だ。
 今回ブルガリアとクロアチアがERM2の参加が決まったのはこうした基準を達成できる見込みだけでなく、国有企業の改革、法の整備、マネーロンダリングなどについてユーロ圏から一定の理解が得られたこともある。
 だがユーロ参加が決まったわけではない。今後経済指標の基準と大きく乖離したり、ERM2を維持できず通貨の切り下げがあればユーロ参加への道は遠くなる。また経済基準やERM2を満たしても、デンマークのように最終的な国民投票でユーロ参加を見送るケースもある。
 ただ両国は近々銀行統合に参加する予定だ。これはECBによる国内銀行の監督を促す。さらにEUはドイツとフランスの主導で巨額の復興資金の創設を提案した。オランダなどの反対でまだ正式決定されてはいないが、これは財政統合への一歩だ。これらはユーロの価値を高めるものだ。
 こうした文脈の中でブルガリアとクロアチアのERM2入りを捉えると、ユーロが基軸通貨への夢に向かってエンジンの回転を上げた可能性がある。こうした潮流が勢いを増すと現在19か国のユーロ圏の拡大は一層現実化する。

このページの先頭へ

2020年07月14日
2020年07月07日
2020年06月30日
2020年06月23日
2020年06月16日

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引および証券取引に関するご注意

パートナーズFX、パートナーズFXnanoおよびCFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格とには差額(スプレッド)があります。

取引手数料は無料です。ただしパートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの受渡取引に限り、1通貨単位あたり0.10円の手数料をいただきます。

パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの証拠金は、為替リスクを想定し通貨ペアごとに当社が定める額と、金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額のうちいずれか大きい額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。

CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。 国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会

このページの先頭へ