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市場養生訓

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第824回

2020年07月28日

 ドルが二年ぶりの低水準に落ち込んだ。新型コロナウイルスの影響があるのはもちろんだが、ユーロ高の要因も大きい。EUの7500億ユーロの復興基金が実現しユーロの再評価がなされた。ドルからユーロへのシフトの引き金にな
り、ドル下落傾向に拍車をかけた。
 だがそのユーロよりも堅調な通貨がある。以前欧州の円とも称された通貨だ。
スウェーデンクローネだ。ユーロクローネの為替レートは3月中旬の11.40水準を高値に直近では10,2780と年初来安値(スウェーデンクローネの高値)水準にある。
 スウェーデンと言えばマイナス金利を最初に導入したが、昨年12月に政策金利を上げ0%にした。マイナス金利を脱した最初の国にもなった。当時は景気低迷のサインも多く、その妥当性に疑問の声も上がった。以前もあったことだが上げた金利を短期間で再び下げる事態になる可能性もあった。
 スウェーデンの中央銀行はこのように独自性が強いが、それは中央銀行だけではない。コロナウイルスへの対処法も独自なものだ。封鎖もなく、規制もゆるい。だが集団免疫を狙った政策は感染者数と死亡者数の増加をもたらした。隣接の他のスカンジナビア諸国に比べ人口当たりの死者数は大幅に上回った。それで国民の支持の厚かった政策責任者に対する批判も内外で厳しくなった。そこで責任者は死亡者数の抑制に力点を置くようになった。最近では感染者数、死亡者数とも増加率は大幅にスローダウンした。
 こうした独自のコロナ対策の経済への影響を見ると、概ね良好だ。企業業績も予想より良い決算を発表する企業が続いている。企業倒産数も多くなく、その結果銀行の貸し倒れによる損失も少ない。今年のGDPはデンマークやノルウェーと同様マイナス5%の予想が多いが、この調子で行くと実際の数字は予想以上になる可能性がある。
 もっともコロナ第二波がいつどのような程度で起こるかで様相は変わる。これまでは中国や欧州の景気の持ち直しで落ち込みが穏やかっだった外需依存の輸出産業の状況が変わるからだ。
 ちなみにノルウェークローネもスウェーデンクローネと同様対ユーロで上昇している。ただその程度はスウェーデンクローネを下回る。
 いずれにせよスウェーデンの利上げもコロナ対策もこれまでは吉と出ている。ユーロが強い限りこの傾向は続きそうだ。
 

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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